ゴール前は有力人気3頭がハナ、アタマ差という接戦となったが、勝ったのは3歳の
ダノンファラオ。
日本テレビ盃や
JBCクラシックで古馬一線級と対戦した経験も生きたのだろうが、
川田将雅騎手のペースコントロールは見事だった。
ジャパンダートダービー以降の
ダノンファラオの戦法は、逃げ馬をぴたりと追走するか、
JBCクラシックのように逃げて自らペースをつくるか。
日本テレビ盃のときなどは、前が競り合った超ハイペースを、なぜ向正面の早めから追いかけたのかと思うほどだった。川田騎手に乗り替わった今回は好スタートを切ったものの、内から
リンノレジェンド、外から
ヒストリーメイカーが行ったのを見て、それを深追いはしなかった。
ダノンファラオ自身はおそらく変わらないペースを刻んでいて、最初のスタンド前の直線でペースが落ち着いたところで自然に前との差を詰めた。
勝負を決めたのは3コーナー手前。中盤13秒台のラップで流れていたところ、残り600〜400mのところで11秒6と一気にペースアップ。それで最後までしっかり脚を使われては、追いかける馬たちには厳しい。レースの上り3Fが37秒0のところ、ハナ差2着の
ロードブレスは36秒6、アタマ差3着の
ウェスタールンドは36秒1という脚を使っても、
ダノンファラオを交わすことはできなかった。
ダノンファラオは
JBCクラシックの結果などから、おそらく
チャンピオンズCではまだ荷が重いとして、裏路線ともいえるここを狙ったのだろう。
浦和記念が中央との交流になって以降、
JRA所属の3歳馬で勝った馬には、05年
ヴァーミリアン、08年
スマートファルコン、16年
ケイティブレイブという名が並ぶ。いずれものちにダートGI/JpnIを複数回制し、この路線の中心的存在になった馬たちだ。
ダノンファラオにも今後の成長でそうした期待がかかる。
1番人気に支持された
ロードブレスは、
ダノンファラオを目標と定めたか、2馬身以上は離されない位置を追走。直線では、
日本テレビ盃でも見せたような最後までしっかり伸びる脚を見せた。ハナ差の勝ち負けは運ともいえるが、3コーナー付近で一気にペースアップされたところで一瞬遅れて追いかけたぶんはあったかもしれない。
小回りの浦和でどういうレース運びをするか注目された
ウェスタールンドだが、今回も最後方からの追走だった。中央で普段最後方を追走しているような馬でも、地方のダート
グレードとなると能力差が離れたメンバーもいるだけに中団あたりを追走することが多いのだが、それでも縦長の離れた最後方だったのは、馬群がダメとか何か理由があるのだろうか。向正面に入って早めにスパートしたが、先行集団に取り付く前にペースアップされてしまった。こうした脚質の馬が直線の短い浦和で勝ちきるには、3コーナーあたりでまくりきるか、先頭に並びかけるところまでいっていないと難しい。3、4コーナーを回りながらの上り3Fで36秒1という脚を使って差し切れなかったのでは仕方ない。
地方馬で見せ場をつくった
タービランスは、タイム差なしの前3頭に3/4馬身差で4着。道中は
ロードブレス、
デルマルーヴルを前に見る位置を進み、ペースアップした3コーナー手前からは追走で一杯かに思われた。それでも4コーナーではコースロスのない内目を回って前との差を詰めた。この実力なら、地方同士の重賞ならいくつも勝てそうだが、やはり脚の使いどころが難しい。ダート
グレードは17年の
東京大賞典(9着)以来だったが、中央馬が相手でも能力的には差がないところを見せた。
デルマルーヴルは
ロードブレスに半馬身ほどの差でぴたりと追走。ペースアップした3コーナーで一旦は
ロードブレスの前に出たが、直線では伸びが見られなかった。地方の小回りの中長距離戦で好成績を残しているが、今回のような瞬発力勝負には向いてないと思われる。