「
ジャパンC・G1」(29日、東京)
手に汗握る最後の直線。三冠馬3頭激突という世紀の一戦を、1番人気の
アーモンドアイが鮮やかに制した。2着
コントレイル(2番人気)、3着
デアリングタクト(3番人気)を退け、自らのラストランを圧巻のG1V9で飾った最強女王は、これで
キタサンブラック超えの歴代獲得賞金王に。
年度代表馬争いにおいても一歩リードした。
無敗の3歳三冠馬2頭に初めて土をつけたのは、やはりこの馬だった。役者が違う。力が違う。1番人気に推された
アーモンドアイが、自身のラストランを圧巻のG1V9で締めくくった。
世紀の一戦に決着がついた瞬間、場内からわき起こる拍手と歓声。何度も人さし指を立ててNo.1をアピールしたルメールは「さすがは
アーモンドアイ。素晴らしい脚を使ってくれた。絶対に日本で一番強い馬。それ(を証明できたこと)がうれしい」と胸を張った。
序盤から
キセキが大きく離して逃げる展開を5番手のインに導いた。「1、2コーナーは前に馬がいなくて走りたがっていたけど、川田さんの馬(
グローリーヴェイズ)の後ろに入れたら
リラックスした。この感じなら勝てると思いました」。直線に入ってスパートの合図を送ると、馬場の真ん中を一直線に伸び続ける。「後ろの足音は聞こえなかった。
アーモンドアイの上で集中していました」。力強く、そして華麗に。最後まで女王らしく先頭でゴールに飛び込んだ。
涙はない。前走の
天皇賞・秋で芝G1・8勝の新記録を達成した時は感情を爆発させたが、「今回はたぶん(泣くことは)ないね。前回は新記録のプレッシャーがあったけど、きょうは“
サヨナラパーティー”だから。全然悲しくない。いい騎乗ができて安心しています」と笑顔でパートナーにお別れのキス。レース後の会見では、バーバラ夫人手作りの9つの星をあしらった記録更新マスクを着用して明るく振る舞った。
17年8月のデビューから全15戦中14戦で手綱を取った。「スタートのスピードがあるし、道中も我慢できて、最後も素晴らしい脚を使うことができる。
パーフェクトホースです」。生涯最高のパートナーに最大級の賛辞を送るとともに「3年間で大きなエモーション(感動)をもらった。彼女に感謝したい」と頭を下げた。
現役生活をハッピーエンドで締めたが、次は繁殖牝馬として第二の仕事が待っている。「
アーモンドアイのストーリーは終わっていない。いい子を生んだら、たぶん乗れる」。歴史的名牝が紡ぐ人馬の絆。その瞳には明るい未来しか映っていない。
提供:デイリースポーツ