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9冠馬アーモンドアイの真の強さとは―

デイリースポーツ
  • 2020年12月08日(火) 18時00分
 12月3日の午前11時45分。1台の馬運車が多くの人に見送られながら美浦トレセンを出発した。乗っていたのはジャパンCを制し、史上初となる芝G1・V9を記録したアーモンドアイだ。最前線を走り続けた現役最強牝馬が、ラストランを終え、国枝厩舎から福島県のノーザンファーム天栄へ旅立った。

 アーモンドアイのすごさとは何か―。改めて考えてみた。後方一気でラッキーライラックをあっさりとねじ伏せた桜花賞。京都の内回り2000メートルで、とても届かないようなポジションからライバルをごぼう抜きした秋華賞。2分20秒6という驚異的なレコードタイムで制した18年ジャパンC。ほかにも、世界にその名を知らしめたドバイターフ天皇賞・秋の連覇。そして、若き三冠馬2頭の挑戦を堂々と受け止めてみせた今年のジャパンCと、どのレースも深く印象に残っており、そして、どのレースもとにかく強かった。

 先日のこと。美浦トレセンで数人の記者と藤沢和師で雑談をしている時に、アーモンドアイの話題になった。そこで、藤沢和師は「アーモンドアイは牝馬三冠を獲ってから、その後もしっかり走っている。3歳であれだけ頑張って、古馬になってからもトップを走り続けるのは大変なことだよ。古馬になれば、その条件のスペシャリストと戦うことになり、より厳しい戦いになる。いくら大事にしていても、競走馬には限界があるからね」と話した。これこそが、アーモンドアイのすごさではないだろうか。

 人間の1流アスリートでも、年齢とともに衰えはやってくる。しかし、アーモンドアイは、引退する最後までレベルの高い走りを見せ続けた。5歳になって衰えはあったかもしれない。それでも、そんなそぶりを見せず、現役最後のレースとなったジャパンCで最高の輝きを放った。これまで5歳の冬まで現役を貫き、トップに君臨し続けた牝馬はそうはいない。名伯楽も認めるそのすごさ。アーモンドアイは本当の意味での女王だった。

 12月19日に中山競馬場で引退式が行われる。競馬場で見るアーモンドアイの姿は、これが最後になるだろう。さらばアーモンドアイ―。その姿をしっかりと目に焼き付けたいと思っている。

(デイリースポーツ・小林正明)

提供:デイリースポーツ

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