予想者として言わせてもらえば、今週の競馬こそ厄介である。何が厄介かといえば、3場で組まれる特別5鞍のハンデ戦。俗に「1キロ=1馬身」というが、そんな単純計算で済まないのが実戦の難しさ。斤量の影響は個体差がある上、馬場(重)やペース(スロー)で大きく響く場合もある。おそらく戦前にすべて読み解くのは神の領域。金欠かつ凡人の域を出ない当方はハンデ戦の馬券は単複のみと決めている。
さて、今週のハンデ戦のひとつがGIII
ターコイズS(土曜=19日、中山芝外1600メートル)。そこに
インターミッションと
マルターズディオサの2頭を登録していた
手塚貴久調教師が、興味深い話を伝えてきた。
「
マルターズディオサはもともと
阪神カップを使う予定。それでも登録したのは、一度ハンデを見ておきたかったからなんだ。来春は
ヴィクトリアマイルが大目標だけど、その
ステップにハンデ戦を選択したら何キロ背負うか知りたくてさ。3歳で55キロなら古馬の来年は56キロか。ならばハンデ戦のチョイスはないと確認した次第だね」
つまり知りたかったのは他馬との斤量差。来春を見据えた陣営のしたたかな戦略だが、実は記者にも“ハンデ”を尺度にしたたかに注目する馬が存在する。それがGI
朝日杯FS(日曜=20日、阪神芝外1600メートル)に出走する
ドゥラモンド。目を引かれたのは
インターミッションと併入した美浦南ウッドでの1週前追い切りだ。
古馬オープン馬と互角に動いたという意味ではない。重要なのは乗り手の“斤量差”である。
「放牧を挟んで背丈が伸びて、体はだいぶ大人びて良くなったね。カイバもバリバリ食うし、何といっても平塚(助手)が乗って(石川)ユキトの
インターミッションと互角の動きなんだからさ。稽古を見ても
パワーアップは歴然だろ?」
ニヤリと笑う担当の滝口政司厩務員の言う通りだ。おそらく乗り手の体重差は20キロ近い。にもかかわらず調教は勝るとも劣らない好反応。前走時も南ウッドでラスト1ハロン12.3秒のシャープな動きを見せたが、当時は軽い石川を背にしての稽古だった。「1キロ=1馬身」とまで言わないが、今回は中身がまるで違うのだ。
「アスター賞の時より数段レベルアップ。今なら先週の
ユーバーレーベン(阪神JF3着)よりもずっと切れる脚を使えるかも」(手塚調教師)
指揮官の強気に乗るわけではないが、やはり今週買うべきは難解なハンデ戦より
朝日杯FSの
ドゥラモンド。そう心に誓う凡人予想家である。
(美浦の緊急事態野郎・山村隆司)
東京スポーツ