今年の
有馬記念の勝ち馬
クロノジェネシスの父は、
凱旋門賞馬の
バゴ。例年の
有馬記念の傾向通り、「日本の春クラシックに縁遠い種牡馬」の産駒が優勝。
血統には個性が見られましたが、血統を育む人々の傾向は一定過ぎました。1-4着が(5着同着の1頭も)すべてノーザン
ファーム生産馬。1-4着はすべてノーザン
ファームのクラブ法人所有馬。
今や、血を育む人も含めた個性を馬券でも楽しめそうなのは、
JRAのGIよりもNARのGIレースなのかもしれません。
先月の
JBCスプリントも、NARの人々が育んだ
サブノジュニアが優勝。同馬は父が大井ダート1200mの名血
サウスヴィグラス。母父も大井の名血
カコイーシーズ。さらに牝系は、
アーモンドアイと同じセックスアピール牝系。このことは、レース前の
ウマい馬券の原稿でも指摘。
サブノジュニアを本命に。8番人気の人気薄での勝利。馬券妙味も十分でした。
そして過去の
東京大賞典も、
JRAの芝レースとは違った個性の血統。その血を育むNARの人々が、馬券の強烈なスパイスになっています。
東京大賞典において、最も人気薄で馬券になったのが2014年に8番人気3着だった
サミットストーン。NARの調教師が(途中から)育んだ馬。
血統も
JRAとはまったく別方向の個性の馬。
サミットストーンの父は
ロージズインメイ。母父はデヴィルズバッグ。父と母父がどちらも国別血統タイプは米国型。
JRAのGIレースではあまり見られない国別血統タイプの組み合わせ。同馬に限らず、
東京大賞典は米国指向の強い血統馬の適性が高く、馬券期待値も高いです。
2016年に5番人気1着だった
アポロケンタッキーも父ラング
フール。母父ゴーンウェスト。いずれも国別血統タイプは米国型。2014年以降の4番人気以下で、馬券になった全頭が父米国型でした。こんな傾向は
JRAの芝レースでは見られません。
今年の出走予定馬では、
カジノフォンテンの父は米国型の
カジノドライヴ。同馬は、米国では超一流の血統。半兄は
ベルモントS勝ち馬のジャジル。半姉ラグズトゥリッチズも
ベルモントS勝ち馬。
カジノドライヴ自身も、屈腱炎によりGIレースを勝てませんでしたが、高い能力を示していた馬。名牝系を持つ種牡馬は、名種牡馬になりやすいのも世界的血統傾向。
カジノドライヴは「晩成中距離血統」。Youtubeチャンネル「亀谷敬正の競馬血統辞典」(https://www.youtube.com/channel/UCy-lzeGfBo0R6EjhK1AkcLg)でも解説したように、キャリアを重ねて体力を生かす血統。この個性も
東京大賞典にはマッチします。同レースは、同コース巧者の高齢の馬が何度も馬券になるように「晩成中距離血統」の産駒が走りやすいレースなのですから。
さらに、
カジノドライヴの母父はヴァイス
リージェント系。同系統は
東京大賞典に相性がよく、5年連続でヴァイス
リージェント系を持つ馬が馬券圏内に。
カジノフォンテンは、ヴァイス
リージェント系のクロスも持つ馬。当レースに強い血を強化。さらに、母も2100mのNAR交流重賞勝ち馬。
JRAとは異なる個性を持ったNAR砂中距離の名繁殖です。
今年も
JRAとは違った個性が要求されるNARの名血、名育成者が馬券においても痛烈な存在感を放つことに期待します。
(文=亀谷敬正)