7日に東京競馬場で行われた
東京新聞杯を5番人気の
カラテで制し、人馬そろっての重賞初制覇を飾った
菅原明良騎手(19)=美浦・高木。ゴール瞬間のド派手な
ガッツポーズは印象に残った。レース後のインタビューでは「うれしくて…、うれしくてしょうがないです。頑張ってくれた馬にも感謝したいです」と瞳に光るモノを浮かべ、喜びを全開させた。毎週のように取材をさせてもらっているだけに、何ともほほ笑ましい時間だった。
2019年3月デビューの3年目。来月の12日に二十歳の誕生日を迎える関東期待のホープは、3度目のチャレンジで重賞制覇という一つの夢をかなえた。ルーキーイヤーに31勝を挙げるも、昨年は骨折で前半3カ月間の休養を余儀なくされたこともあり、30勝と勝ち星を伸ばすことができなかった。先月、二十歳を迎えるにあたっての抱負を聞いたが、「特に意識はしていません。昨年結果を残せなかったので、結果を残せるようにやっていきたい」とハッキリとした口調で答えてくれたが、早くも有言実行となった。
とにかく研究熱心だ。骨折で休んでいた間も、病室のベッドで「失敗したレースを何度も何度も見直していました」と話した。決して時間を無駄にしない。そこには、師匠である
高木登調教師の「競馬を見て勉強しろ!」という日々の指導もある。今年は先週終了時点で8勝(JRA通算69勝)と好スタート。関東リーディングでは5位につけている。既に重賞を勝っている
斎藤新(同82勝)、
団野大成(同96勝)に加え、既に通算120勝をマークしている
岩田望来など粒ぞろいの世代。「同期が頑張っているので、負けないようにしたい」と力強く話した。
昨年は37歳の
吉田隼人と、22歳の
横山武史がし烈な関東リーディング争いを繰り広げ、最後は
横山武史が競り勝って史上最年少で関東リーディングを手にした。2年目を迎えた
秋山稔樹、
泉谷楓真、
小林脩斗、
原優介も序盤から存在感を示しているように、競馬界は今、若い力が熱い。
9日には千葉県白井市のJRA競馬学校で37期生の卒業式が行われる。今回は女性2人を含む8人。
角田晃一、横山義行、
永島太郎(兵庫県競馬)といった元ジョッキーや現役の
西谷誠の2世もいる。現在JRAの女性騎手と言えば、6年目を迎えた藤田菜七子が孤軍奮闘中。2010年以来となる複数の女性騎手誕生に、菜七子は「すごくうれしい気持ちです。競馬学校生の頃は早くジョッキーになりたいと思って3年間を過ごしていましたが、いざ卒業してデビューをするとなると、もちろん楽しみの方が大きかったんですけど、不安はありました。なので、(後輩の女性騎手たちにとって)支えになれる存在になれれば。尊敬してもらえる存在になれるよう、これからも頑張っていきたいと思います」とコメントした。
順調なら3月6日から各競馬場でプロとしてデビューする。まだまだ出口の見えないコ
ロナ禍ではあるが、幸いにもJRAは一日も休むことなく競馬開催を続けられている。あの地響きのような大歓声を知らない、2年目の
原優介は「早く多くのお客さんが競馬場に戻ってきてほしいし、その前で競馬がしたい。そして勝ちたいですね」と瞳を輝かせる。
若い力で“打倒ルメール”を目標に、さらには、いつまでも煩わしいコ
ロナまで吹き飛ばしてしまえ!(
中央競馬担当・村上英明)
提供:デイリースポーツ