今週末の東京日曜(14日)メインは出世レースとして知られるGIII
共同通信杯(芝1800メートル)。過去10年を見ると、勝ち馬のうち5頭がその後にGIホースとなっている名物重賞だ。それでいて1番人気は<1-3-1-5>の勝率10%。18年の56万円超を筆頭に、3連単万馬券は実に7本と波乱度大でもある。当欄が狙うのは
キングストンボーイ。名伯楽が“ラスト・クラシック”に送り出す素質馬だ。
キングストンボーイのここまでの成績は1・5・1着。5着に敗れたGIII
サウジアラビアRCは極悪馬場の影響としても、勝った2戦はともにクビ差。出世レースで強力なメンバーと戦うには、ややパンチ不足の印象も受ける。
ただ、藤沢和調教師が感じている“
キングストンボーイ像”は、外から見るイメージとはまったく違うものだった。
「2戦目は道悪が敗因?いやいや、そういうことじゃない。しまいはしっかり脚を使ってくれていたから。それよりも気難しい面を出して、出遅れてしまったのが痛かった。デビュー戦もフラフラして、若さを見せていたしね。ただ少しずつ馬が良くなって、前走(
ベゴニア賞)あたりは上手に走ってくれた。この時期に馬がグングンと良くなってくるのはすごく大事なことだよ」
ここまでの戦績は“適性”ではなく“成長度”によるもの、というのが同師の主張。続けてトレーナーの口から飛び出したのはとんでもない言葉だった。
「本当に著しい成長で、
シンボリクリスエスや
ゼンノロブロイ(ともに3歳4月の
山吹賞で2勝目)と比べても、2か月くらい早く良くなってきている。2頭は
青葉賞を勝って、残念ながらクラシックは勝てなかったけれど、
キングストンボーイの場合はもっと期待できるのかなと思うよね」
まさかの引き合いに出てきたのは厩舎を代表するスーパーホース2頭の名前。これを聞いただけでも同師の
キングストンボーイに対する期待の大きさが分かる。
藤沢和調教師は定年のため来年2月で引退する。「半兄の
エポカドーロも
皐月賞を勝った素晴らしい馬だったけど、
キングストンボーイも難しい面が抜けて随分と良くなってきました。自分にとって今年のクラシックが最後になりますけど、楽しみにしています」
コンビを組むのは名手ルメール。
レイデオロや
グランアレグリアを
ビッグタイトルに導いた“厩舎の主戦”を引き続き確保して臨むあたりに、陣営のラスト・クラシックにかける並々ならぬ意気込みが伝わってくる。
GI
朝日杯FS2着馬
ステラヴェローチェを筆頭に良血馬、無敗馬など強敵は多いが、フタを開けてみればあっさり…なんてシーンが見られるかもしれない。
(特捜班)
東京スポーツ