チャンピオンズCウイークに、
サンライズノヴァの性格や走りを「脱力系」と称した担当の棚江助手が、
プロ野球選手に例えた記事が公開された。
道中はゆったりと構えるように走って、直線でものすごい脚を使う――。
サンライズノヴァのこの競馬の形がインパクトの瞬間だけ集中して、ボールを遠くへ飛ばす技術にたけていた往年の名選手・門田博光のバッティングに共通するという内容。しかし、“追加取材”を進めたところ、当人は門田よりも、ソフトバンクの柳田悠岐をよりクローズアップしてほしかったらしい。
門田と柳田を比べるわけではないが、棚江助手自身が何度も球場で見た柳田のインパクトの瞬間のスイングスピードはやはり半端なく、それくらい「
サンライズノヴァの末脚は切れる」と強調したかったのだとか。もっとも、ホームランを打った後の
ブーマーとのハイタッチで脱臼してしまった逸話を残す門田のほうが、やはり“脱力系”のネタにはよりふさわしい気もするのだが…。
「門田か柳田か問題」はさておき、肝心のチャンピオンズCではコーナー4つの1800メートルという舞台設定が合わなかったようで見せ場なく惨敗。◎を打っていた当方としてもガックリした次第だが、道中でいつもの“脱力”ができずに力んでしまっては仕方あるまい。
「隆の里やな。我慢強くて安定していたからな」
棚江助手に改めて
サンライズノヴァを例えてもらうと、こんな答えが返ってきた。むむ、プロ野球選手の次は力士ときたか。それにしても何とも絶妙のチョイスである。
当方と同じ40代半ばの棚江助手にとって大相撲といえば、やはり千代の富士のはず。人気、実力とも兼ね備えていた昭和の大横綱だが、その千代の富士が大の苦手にしていたのが隆の里だった。30歳を過ぎてから横綱に昇進した遅咲きで、幕内優勝は4回。千代の富士の31回に比べれば圧倒的な差をつけられたが、直接対決では十両での対戦を含めて18勝13敗と勝ち越しており、記録よりも記憶に残る横綱。「そこにいくか」と思わずうならされた次第だ。
「同じく追い込み一手の脚質の
ウェスタールンドのように内を突ける器用さがあればいいんだけど、外を回る競馬でも隆の里のように堅実に、我慢強く走ってくれるのが共通点やな」(棚江助手)
7歳まで大きなケガもなく、コンスタントに走ってきた馬で、ここまでの31戦で2桁着順は2017年の
武蔵野S(12着)、そして前走のチャンピオンズC(12着)の2走のみ。まさに堅実に我慢強く走り続けてきた馬なのだ。遅咲きの横綱・隆の里に例えたのは、7歳馬
サンライズノヴァが
JRA・GIの勲章を何とかここで手にしてほしい気持ちもあってのことだろう。
「前でヤングたちがやり合うのを後ろから見ながら運ぶだけ。展開さえ向いてくれれば…」(棚江助手)
出走メンバーで最多となる7勝を挙げる得意の“東京場所”で、前半は本来の脱力系、そして直線では横綱相撲?の大外一気。そんなシーンを期待せずにはいられない。
(栗東の遠吠え野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ