蛯名正義のラス
トライドの舞台としても注目された、第95回
中山記念のゲートが開いた。
1番の
トーセンスーリヤがポンと飛び出し、それを制して
内田博幸の
バビットがハナに立った。
横山武史が乗る13番の
ウインイクシードも速いスタートを切り、内に切れ込みながら、逃げる
バビットに外から並びかけて行く。
ウインイクシードは、
バビットに半馬身差ほどまで迫り、1、2コーナーを回って行く。
向正面に入った。逃げる
バビットと、半馬身ほど遅れて外につけた
ウインイクシードが後ろを離して飛ばす。2頭の3馬身ほど後ろに
トーセンスーリヤ。4番手の
ヒシイグアスは、そこから5、6馬身後ろにいる。
「前も結構飛ばしているなかで、開幕週でもあるので、いいポジションを取ってレースを進めようと思っていました。道中はいいリズムで進められました」
ヒシイグアスに騎乗した
松山弘平はそう話す。
1000m通過は57秒8と速くなった。
それでも、逃げて結果を出してきた
バビットは引かずに行きつづけ、
ウインイクシードは、斜め後ろからこれにプレッシャーをかけつづける。3番手は
トーセンスーリヤ。
これら3頭が先団を形成したまま3、4コーナーを回って行く。
4番手の外につけた
ヒシイグアスは、松山が促すとスムーズに前との差を詰め、前3頭を射程に入れた。
「速い流れにしっかりついて行って、直線に向いても手応えがありました」と松山。
直線入口で
バビットは失速し、それと入れ替わるように
ケイデンスコールが上がってきた。
先頭は
ウインイクシード、2番手は
トーセンスーリヤ。その少し後ろの内に
ケイデンスコール。
ヒシイグアスは、これらの外から豪快に脚を伸ばした。そのまま一気に突き抜けるかに見えたが、ウインとトーセンの間から
ケイデンスコールが抜け出してきた。
ヒシイグアスは、内の
ケイデンスコールとの激しい叩き合いをクビ差で制し、先頭でゴールを駆け抜けた。
松山はこう振り返る。
「直線、内から1頭抜け出してきて、少し危ないところがあったのですが、それでも最後まで脚色が衰えず、差し切ってくれました。非常に強い競馬をしてくれたと思います」
勝ちタイムはコースレコードタイの1分44秒9。
4連勝で、
大阪杯の優先出走権を手にした。
「乗るたびに馬がよくなっていますし、厩舎もよく仕上げてくれて、強い馬だなと感じています。まだまだこれからの馬だと思いますし、もっと強いレースを見せられるように頑張りたいと思います」
成長著しい
ハーツクライ産駒の力をフルに引き出した松山はそう話した。
なお、蛯名の
ゴーフォザサミットは4着だった。
中距離戦線のレベルがまたさらに底上げされたことを実感させられる一戦だった。
(文:島田明宏)