世界最高峰の優勝賞金を誇る
サウジカップで
ミシュリフを勝利に導いたのはアイルランド出身、弱冠21歳のデビッド・イーガン。主に英国を主戦場としており、一昨年の
凱旋門賞に出走した
フィエールマンと
ブラストワンピースが英ニューマーケットに滞在調整していた際に、
フィエールマンの追い切りに騎乗したのがこの男だ。
遠征に帯同していた
フィエールマンの担当者である名畑助手は「追い切りは丘の上から見ていたので騎乗技術がどうのといった感想はないのですが、一緒にいたノーザン
ファームの獣医師からは“将来有望な騎手だからツバをつけておいたほうがいい”と言われましたね」と当時を振り返る。日本の人馬の交流は世界の
トップレベルにあることを実感させられるエピソードと言えようか。
さて、その名畑助手の現在の担当馬がGII
弥生賞ディープインパクト記念(7日=中山芝内2000メートル)に出走する
シュネルマイスター。重賞初挑戦の身ながら、目下の戦績は堂々の2戦2勝。前走の
ひいらぎ賞に続きルメールが騎乗するとなれば、2歳王者
ダノンザキッドとてうかうかできないラ
イバルになり得るのではないか。
前述
フィエールマンは昨年暮れの
有馬記念(3着)を最後に引退。同じサンデーレーシングの勝負服も手伝い、その走る姿はどことなく
フィエールマンをほうふつさせ、記者の中では“リトル・
フィエールマン”のキャラがすでに定着している。
「乗った感じはだいぶ違いますね。
フィエールマンは追い切りで持っていかれたりと、乗り難しいところがありましたから…。それに比べて
シュネルマイスターは乗り手に従順。とにかく乗りやすくて操縦性が高いんです。新馬、2戦目とも特に注文をつけるところもなく勝ってくれました」(名畑助手)
乗っている立場からすると、
フィエールマンとタイプは違うようだが、それ以上の側面があることにも言及してくれた。一線級と初対決になる今回が試金石ながら、さらに上のステージに駆け上がる可能性を感じさせてくれる。
「父の
キングマンだけを切り取ると、距離への不安があるかもしれませんが、乗った感じはむしろ中距離が合うイメージ。2戦目でゲートもしっかり出てくれたので問題ないかなと思っています。(先月25日の計量で)馬体重は486キロ。成長が見られますし、使っていけばもっと良くなりそうな感じ。一気の相手強化になるけど、この馬の力を測るにはもってこいの相手。内容次第でクラシックのチャンスも出てくると思っています」
果たして
フィエールマンと入れ替わるように頭角を現した
シュネルマイスターが、クラシックへの道を自らの力で切り開くのか――。その走りから目が離せそうにない。
(立川敬太)
東京スポーツ