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【勝負の分かれ目 弥生賞】スローに落としたタイトルホルダーが勝ち、ダノンザキッド初黒星

  • 2021年03月07日(日) 18時15分
 圧倒的1番人気に支持された川田将雅ダノンザキッドは、もともとパドックからおとなしいほうではないが、今日もせわしなく首を動かすなど、やや焦れ込み気味だった。

 ゲートが開いた。

 好スタートから、横山武史が乗るタイトルホルダーがハナに立った。

「調教のときからいい馬だという感触を得ていました。スタートがいつも速いので、こういう形になるのはイメージどおりでした」と横山。

 4番枠から出たタイトルホルダーはスムーズに内に切れ込み、先頭をキープしたまま1コーナーへと入って行く。

 2番のダノンザキッドも速いスタートを切った。前走のホープフルステークス同様、序盤から行きたがり、川田が手綱を引きながら、少しずつ内埒から離して行く。そうしてタイトルホルダーから5、6馬身離れた5番手の外目につけ、1、2コーナーを回って行く。

 向正面に入ってもタイトルホルダーが快調に飛ばす。

 2馬身ほど遅れた2番手はクリストフ・ルメールシュネルマイスター。こちらは父キングマンというマイラー血統から距離適性が心配されたが、折り合っている。

 10頭がほぼ一列になって進み、1000m通過は1分2秒6という緩い流れになった。

 ダノンザキッドは、相変わらず先頭から5、6馬身差の5番手につけている。

 3コーナーに入っても、タイトルホルダーが楽な手応えで先頭を走っている。

 シュネルマイスタータイムトゥヘヴンらが差を詰め、ダノンザキッドも外から進出して行く。

 逃げるタイトルホルダーの横山は、4コーナーを回りながら斜め後ろを確認し、スパートのタイミングをはかっている。

 直線入口で、横山の手の動きがやや大きくなった。

 外からシュネルマイスターがかわしにかかる。

 ラスト200mを切ったところで、横山が初めて右ステッキを入れた。さらにスパートを遅らせてルメールも左ステッキでゴーサインを出す。

 タイトルホルダーの脚色は衰えない。追いすがるシュネルマイスターに1馬身1/4差をつけ、先頭でフィニッシュ。重賞初勝利を遂げた。

 外からダノンザキッドも追い上げてきたが、ラスト200m付近で手前を替え、ようやくトップスピードに乗りかけたところがゴールだった。初の黒星となる3着に終わった。

 共同通信杯につづき、今年の重賞2勝目を挙げた横山はこう話した。

「まだ調教で2回とレースで1回しか乗っていないので、この馬のすべてを把握しているわけではありませんが、それでも、すごく乗りやすくて、動きも、パワーも、すべてがいい馬です。いい形でトライアルを勝ててよかったです」

 今年の牡馬クラシック戦線は、混沌とした状況になってきた。

(文:島田明宏)

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