圧倒的1番人気に支持された
川田将雅の
ダノンザキッドは、もともとパドックからおとなしいほうではないが、今日もせわしなく首を動かすなど、やや焦れ込み気味だった。
ゲートが開いた。
好スタートから、
横山武史が乗る
タイトルホルダーがハナに立った。
「調教のときからいい馬だという感触を得ていました。スタートがいつも速いので、こういう形になるのはイメージどおりでした」と横山。
4番枠から出た
タイトルホルダーはスムーズに内に切れ込み、先頭をキープしたまま1コーナーへと入って行く。
2番の
ダノンザキッドも速いスタートを切った。前走の
ホープフルステークス同様、序盤から行きたがり、川田が手綱を引きながら、少しずつ内埒から離して行く。そうして
タイトルホルダーから5、6馬身離れた5番手の外目につけ、1、2コーナーを回って行く。
向正面に入っても
タイトルホルダーが快調に飛ばす。
2馬身ほど遅れた2番手は
クリストフ・ルメールの
シュネルマイスター。こちらは父
キングマンというマイラー血統から距離適性が心配されたが、折り合っている。
10頭がほぼ一列になって進み、1000m通過は1分2秒6という緩い流れになった。
ダノンザキッドは、相変わらず先頭から5、6馬身差の5番手につけている。
3コーナーに入っても、
タイトルホルダーが楽な手応えで先頭を走っている。
シュネルマイスター、
タイムトゥヘヴンらが差を詰め、
ダノンザキッドも外から進出して行く。
逃げる
タイトルホルダーの横山は、4コーナーを回りながら斜め後ろを確認し、スパートのタイミングをはかっている。
直線入口で、横山の手の動きがやや大きくなった。
外から
シュネルマイスターがかわしにかかる。
ラスト200mを切ったところで、横山が初めて右ステッキを入れた。さらにスパートを遅らせてルメールも左ステッキで
ゴーサインを出す。
タイトルホルダーの脚色は衰えない。追いすがる
シュネルマイスターに1馬身1/4差をつけ、先頭でフィニッシュ。重賞初勝利を遂げた。
外から
ダノンザキッドも追い上げてきたが、ラスト200m付近で手前を替え、ようやくトップスピードに乗りかけたところがゴールだった。初の黒星となる3着に終わった。
共同通信杯につづき、今年の重賞2勝目を挙げた横山はこう話した。
「まだ調教で2回とレースで1回しか乗っていないので、この馬のすべてを把握しているわけではありませんが、それでも、すごく乗りやすくて、動きも、
パワーも、すべてがいい馬です。いい形で
トライアルを勝ててよかったです」
今年の牡馬クラシック戦線は、混沌とした状況になってきた。
(文:島田明宏)