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辻哲英調教師 新調した厩舎調教服の色彩に込めた満開の願い/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2021年03月18日(木) 18時00分
 JRAの“春”が始まって2週間がすぎた。今年は大挙8人の新人騎手がデビュー。注目を集めるのは先週揃って初勝利を挙げた古川奈穂永島まなみの女性陣だが、小沢大仁は初騎乗初Vの快挙を含む2勝、永野猛蔵に続き先週は松本大輝も初V。爽やかな風をさっそく皆がターフに吹かせている。とはいえ早期の活躍イコール将来性とならないのは勝負の世界の常であろう。いまやトップ騎手の田辺裕信とて初勝利に63戦を要し、初年度はわずか8勝。探求心と努力次第でいくらでも未来が変わることを、その数字は示している。

 大器晩成ーー。こんな期待を込めて当方が見つめるフレッシュマンが実は美浦にいる。先週中京(クイーンズテイスト13着)でトレーナーとしての船出を切った辻哲英調教師がその人。戸田博文厩舎の助手時代からの付き合いで、何といっても千葉県佐倉市出身の同郷人。親愛の情が湧く一方、佐倉高(県下有数の進学校)出身と告げられた際は“なるほど知的な顔立ちだ”と内心舌を巻いたこともあった。

 さて、そんな辻師に最近、どうも気になり尋ねたことがある。それは新調された厩舎調教服の色彩。ホワイトシルバーの地をピンクの襟元、袖口、ロゴが鮮やかに彩り、遠目から厩舎を認識できる時計班にも優しい代物なのだが…。おそらく聡明な彼のこと、単純な見た目でなく相応の意味を込めた配色なのでは、と思い至ったのである。

「当たりです(笑)。コンセプトは僕の名前と出身地でした。辻を逆さに読むと“じつ”。転じてGII(笑)。僕にとってGIは金、GIIは銀のイメージもあって、シルバーをベース色に選択しました。もちろん“銀”で満足ということはなく、一方のピンクは高みを目指そうという決意。佐倉の市章は桜の花形だし、桜は日本を象徴する花でもありますからね。いつかは日本を代表する馬を育てたい。そんな願いを込めてサクラ色も織り込みました」

 諸事情からまだ馬質に恵まれない現状だが、6頭がスタンバイする今週から彼の本格的な“春”が幕を開ける。とりわけ名手ルメールで挑む中京マサノアッレーグラにはサクラの開花=初勝利まで期待されよう。佐倉高出身の著名人といえば長嶋茂雄氏だが、競馬において“ミスター”と称されるくらいの大成功を期待して…。同郷人・辻哲英の行く末を、満開の願いを込めた調教服とともに見守りたい。

(美浦及び佐倉の無名人・山村隆司)

東京スポーツ

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