はじめに、今月4日に逝去された
林和弘調教師について、心よりご冥福をお祈りします。
シーズン終了まで2ヶ月を切り、道営チャンピオンの称号を賭けた古馬戦線もいよいよ佳境を迎えている。昨年の転入後は門別負けなしだった昨年王者
クインズサターンが
赤レンガ記念にて初黒星を喫したことで、にわかに戦況は混戦模様を呈し始めたわけだが、中央あるいは南関東から今年転入してきた新勢力も、ここにきて存在感を増してきた。大一番と同じ舞台で争われ、北海道最高峰の山の名を冠したこの重賞は、
道営記念に向けた道のりの文字通りひとつの山場である。
赤レンガ記念のワンツーでありチャンピオン経験のある
リンノレジェンドと
クインズサターンをまずは中心に考えるべきだろう。片や徹底先行型、片や後半勝負型という具合で両者とも極端な運びを常とする馬だが、少頭数で逃げ馬が1頭のみであった
赤レンガ記念では前者に分があった。当然、展開次第では再度、逆転もあり得る。
この2頭は評価しつつ、筆者は新勢力たる
リコーワルサーのポテンシャルに着目した。南関東から転入して緒戦の前走は2着に敗れたが、1年1ヶ月ぶりの実戦ということを考えれば、むしろ地力の高さを証明した走りである。当然、状態の
ピークは本番の
道営記念に持っていくだろうが、それでも休み明けを叩いて走りのレベルは上がるはずだ。南関東での実績を考えればここでも五分以上にやれると見る。
ただ、
リコーワルサー含め、中央から転入後2連勝中の
サンビュートや星雲賞の勝ち馬
クラキングスなど、リンノとクインズに挟まれる格好で運ぶことになる有力馬たちにとっては、そのどちらを意識して乗るのかが最大のポイントだ。早めに仕掛けてリンノの粘り腰を封じるか、クインズの追い込みに対抗するためにできるだけ余力を残しておくのか、各馬の動き出すタイミング次第でゴール前の様相がガラリと変わるレースになりそうである。ジョッキー同士の駆け引きに注目したい。
(文:競馬ブック・板垣祐介)