5番の
ディアスティマが好スタートから飛び出し、9番
ジャコマルも速いスタートを切って並びかけて行く。競り合いがつづくかと思われたが、最初のコーナーの外回り3コーナー入口では、先頭
ディアスティマ、1馬身ほど遅れた2番手が
ジャコマル、3番手が
カレンブーケドール、4番手に
シロニイ、さらに1番人気の
ディープボンドといった馬たちが好位グループを形成し、コーナーを回って行く。
アリストテレスがその好位集団から2馬身ほど後ろ、
福永祐一が騎乗する
ワールドプレミアは、さらに2馬身ほど遅れた中団の内で折り合いをつけている。
「もう少しいいスタートを決めて、ある程度いい位置で競馬するのがベストだと考えていたのですが、内枠ということもあり、上手くリカバリーできました」と福永。
1000m通過は59秒8。先頭から最後尾まで15馬身ほどと縦長になり、正面スタンド前を通過して行く。
ディアスティマが引っ張る馬群は1、2コーナーを回り、向正面へ。
ワールドプレミアは
アリストテレスの真後ろにいたのだが、向正面なかほどで、福永はやや外に持ち出した。
「
ウインマリリンが進出して来たので、そのタイミングである程度ポジションを確保しておかないと、動きたいときに動けなくなるだろう、と。考えていたより早く外に出す形になりましたが、長くいい脚を使ってくれました」
ディアスティマが先頭のまま、2周目の3、4コーナーを回って行く。
カレンブーケドールが2番手。外から
ディープボンドが3番手に押し上げてきた。その内から
アリストテレスも進出してくる。
ワールドプレミアは、外に
ウインマリリンを引き連れ、
アリストテレスの外に並びかけて最後の直線に向いた。
カレンブーケドールが直線入口で先頭に躍り出た。
馬場の真ん中から
ディープボンドが差を詰める。
さらに外から
ワールドプレミアが猛然と追い込んで行く。
左鞭を入れていた福永が鞭を右手に持ち替えて叱咤すると、
ワールドプレミアは手前を右に戻して、ゴール前でもうひと伸びした。そして、2着の
ディープボンドを3/4馬身差で競り落とし、先頭でゴールを駆け抜けた。
直線で早めに先頭に立ち、勝ちに行く競馬をした
カレンブーケドールは3着。
ワールドプレミアと一緒に上がってきた
ウインマリリンは5着と、2頭の牝馬が掲示板に載った。
積極的に動いた福永が、
ワールドプレミアに2つ目のGIタイトルをプレゼントしたと同時に、自身初となる春の盾を手中にした。
(文:島田明宏)