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【勝負の分かれ目 オークス】デムーロ騎手の腹を括った騎乗でユーバーレーベンが2勝目でGI初制覇

  • 2021年05月23日(日) 18時00分
 前日の雨で馬場悪化が心配されたが、朝から好天に恵まれた東京競馬場の芝コンディションは良。青空の下で、18頭が第82回オークスのゲートを飛び出した。

 これまで逃げたことのある馬が1頭もいないというメンバー構成。どの馬が行くのか読めない状況で、ソダシ陣営もハナに行く可能性を匂わせていた。

 吉田隼人が乗る1番人気のソダシは11番枠から速いスタートを切り、そのまま無理に抑えることなく先行する。内のククナクールキャットソダシのやや前にいて、大外18番のステラリアソダシの外に並びかけてきた。ソダシは、手綱を引く吉田の指示以上に行きたがり、首を高くして、引っ掛かった状態の走りになっている。

 クールキャットがハナに立ち、差なく外のステラリアが2番手、それら2頭に挟まれるような形になったソダシが3番手で1コーナーへと入って行く。

 2番人気のアカイトリノムスメソダシの直後。ミルコ・デムーロが乗る3番人気のユーバーレーベンは後方につけている。

 2コーナーを回りながら、吉田は手綱をさらに引き、ソダシを少し外に持ち出した。前を行くクールキャットと、その外のステラリアとの間が狭くなったことに加え、自分の内にククナがいて、走りが窮屈になっていたからだ。

 向正面に入っても、クールキャットが単騎で逃げている。2番手はステラリア、内の3番手はククナソダシは相変わらず掛かったまま4番手につけている。

 ユーバーレーベンは、ソダシから5、6馬身後ろの中団にいる。

「調子がちょっとずつよくなって、パドックでもいい状態だった。スタートは出たのですが、1コーナーでゴチャつかないようにしようとしたら、位置取りは後ろになってしまいました。後ろすぎると思ったのですが、向正面ではスムーズになりました」とデムーロ。

 1000m通過は59秒9。同じく良馬場で行われた昨年の59秒8、一昨年の59秒1とそう変わらない流れになった。

 3コーナーを回りながら、ユーバーレーベンは馬4頭分ほど外を回って進出した。

 そのまま4コーナーを回り、直線へ。

 ソダシの前は完全にひらけている。ラスト400m付近で吉田が手綱を持ち直し、左鞭でゴーサインを出す。ソダシはじわじわと末脚を伸ばす。が、なかなか内の馬たちをかわし切れない。

 そうこうしているうちに、外からユーバーレーベンが伸びてきて、ラスト200m付近で外からソダシをかわし、そのまま先頭に躍り出た。デムーロは言う。

「3、4コーナーでペースが上がってきたときはすごく楽でした。直線に向いたらいつもどおりジリジリ伸びていた。距離は問題ないと思っていました。直線で早めに先頭に立ちました。少し物見するかもしれないから、祈るようにして、最後まで頑張りました」

 ユーバーレーベンは最後まで伸び切り、2着のアカイトリノムスメに1馬身差をつけ、デビュー2勝目をGI初制覇で飾った。

 思い切った後方から外を回して早め先頭という、デムーロの腹を括った騎乗で、ゴールドシップ産駒初のGIタイトルを手にした。

(文:島田明宏)

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