前日の雨で馬場悪化が心配されたが、朝から好天に恵まれた東京競馬場の芝コンディションは良。青空の下で、18頭が第82回
オークスのゲートを飛び出した。
これまで逃げたことのある馬が1頭もいないというメンバー構成。どの馬が行くのか読めない状況で、
ソダシ陣営もハナに行く可能性を匂わせていた。
吉田隼人が乗る1番人気の
ソダシは11番枠から速いスタートを切り、そのまま無理に抑えることなく先行する。内の
ククナと
クールキャットが
ソダシのやや前にいて、大外18番の
ステラリアが
ソダシの外に並びかけてきた。
ソダシは、手綱を引く吉田の指示以上に行きたがり、首を高くして、引っ掛かった状態の走りになっている。
クールキャットがハナに立ち、差なく外の
ステラリアが2番手、それら2頭に挟まれるような形になった
ソダシが3番手で1コーナーへと入って行く。
2番人気の
アカイトリノムスメが
ソダシの直後。
ミルコ・デムーロが乗る3番人気の
ユーバーレーベンは後方につけている。
2コーナーを回りながら、吉田は手綱をさらに引き、
ソダシを少し外に持ち出した。前を行く
クールキャットと、その外の
ステラリアとの間が狭くなったことに加え、自分の内に
ククナがいて、走りが窮屈になっていたからだ。
向正面に入っても、
クールキャットが単騎で逃げている。2番手は
ステラリア、内の3番手は
ククナ。
ソダシは相変わらず掛かったまま4番手につけている。
ユーバーレーベンは、
ソダシから5、6馬身後ろの中団にいる。
「調子がちょっとずつよくなって、パドックでもいい状態だった。スタートは出たのですが、1コーナーでゴチャつかないようにしようとしたら、位置取りは後ろになってしまいました。後ろすぎると思ったのですが、向正面ではスムーズになりました」とデムーロ。
1000m通過は59秒9。同じく良馬場で行われた昨年の59秒8、一昨年の59秒1とそう変わらない流れになった。
3コーナーを回りながら、
ユーバーレーベンは馬4頭分ほど外を回って進出した。
そのまま4コーナーを回り、直線へ。
ソダシの前は完全にひらけている。ラスト400m付近で吉田が手綱を持ち直し、左鞭で
ゴーサインを出す。
ソダシはじわじわと末脚を伸ばす。が、なかなか内の馬たちをかわし切れない。
そうこうしているうちに、外から
ユーバーレーベンが伸びてきて、ラスト200m付近で外から
ソダシをかわし、そのまま先頭に躍り出た。デムーロは言う。
「3、4コーナーでペースが上がってきたときはすごく楽でした。直線に向いたらいつもどおりジリジリ伸びていた。距離は問題ないと思っていました。直線で早めに先頭に立ちました。少し物見するかもしれないから、祈るようにして、最後まで頑張りました」
ユーバーレーベンは最後まで伸び切り、2着の
アカイトリノムスメに1馬身差をつけ、デビュー2勝目をGI初制覇で飾った。
思い切った後方から外を回して早め先頭という、デムーロの腹を括った騎乗で、
ゴールドシップ産駒初のGIタイトルを手にした。
(文:島田明宏)