「
日本ダービー・G1」(30日、東京)
無敗の
皐月賞馬
エフフォーリアの進撃を止めるのは牝馬かもしれない。紅一点参戦する
サトノレイナス。
オークスではなく、ダービーへと矛先を向けたのは決して無謀な選択ではなく、勝算ありと踏んでのもの。
国枝栄調教師(66)=美浦、そしてオーナーのサ
トミホースカンパニーにとってダービー制覇は悲願。頼れる男・ルメールは最高の贈り物を届けることができるか。
これまでダービーを制した牝馬はわずか3頭。ただ、
アーモンドアイ、
グランアレグリア、
リスグラシューなど、近年は牡馬を圧倒する牝馬が続出している。そんな時代に紅一点、
サトノレイナスが世代最強を決める大舞台に挑んできた。
悲願ゆえの選択でもあり、最良の選択でもある。ダービーはオーナーのサ
トミホースカンパニー、そして管理する国枝師にとって、是が非でも獲得したいタイトルだ。師いわく「俺もオーナーもダービー制覇のチャンスがあると思っているんでね。距離が延びても大丈夫だから、前々から考えていた」と経緯を説明。ここまで4戦してG1・2着が2度あるものの、重賞勝ちはゼロ。それでも勝算があると判断した。
主戦のルメールも「ダービー挑戦はいいチャレンジだと思う」と目の色を輝かせる。直近の牝馬による制覇は07年の
ウオッカ。「
ウオッカはめちゃくちゃ強かったからダービーを勝てた。レイナスはまだ、フルポテンシャルを見せていない。1600メートルではスピード不足でした。ただ、2400メートルになれば違う馬になると思う」と、距離延長での大変身を期待する。
2着に惜敗した
桜花賞後は、放牧に出さず厩舎で調整。指揮官は「在厩で調整してきて元気いっぱい。特に変わってはいないけど、変わらないことがいいことなんだよ」と問題なしを強調した。19日の1週前追い切りでは、ルメールを背に美浦Wで併せ馬。5F64秒8-36秒2-12秒2のタイムで、僚馬に力の違いを見せつけた。鞍上は「
桜花賞を使ってスイッチオンしましたね。能力が高いから勝つ自信はあります。メンバーは強いけど、牝馬は2キロ軽いからね」と力を込める。
サ
トミホースカンパニーは16年
サトノダイヤモンド、15年
サトノラーゼンの2着、そして国枝師は18年
コズミックフォースの3着が最高成績。オーナー、トレーナーともにあと一歩届いていない“ダービー”の称号。「ぜひプレゼントとしたいね」。17年にダービージョッキーに輝いたルメールが、不敵な笑みを浮かべた。
提供:デイリースポーツ