JRA最大の“出世レース”が何かと問われれば、迷わず挙げたいのが今週の東京メイン・
ユニコーンS(20日=東京ダート1600メートル)である。
際立つのは近6年で、15年
ノンコノユメ、16年
ゴールドドリーム、そして昨年覇者
カフェファラオが後のGI
フェブラリーS優勝馬。18年
ルヴァンスレーヴは前出
ゴールドドリームと並びGI
チャンピオンズCの覇者。17年
サンライズノヴァ、19年
ワイドファラオは
JRA・GIの勝利こそないが、ともに交流GIを制覇している。勝てば将来を約束されたも同然の舞台であり、逆に言えば古馬GIを勝てそうな馬を狙うのが馬券の必殺
セオリーなのだ。
と、偉そうに記してはみたものの…。今年は近年にない大混戦。1番人気候補
ラペルーズとて、鞍上(ルメール)人気を加味しても単オッズが3倍を切ることはなかろう。そこで頼りにしたいのは近年データ。何より最強の
ステップと言えるのが、同じ東京ダート1600メートルで施行される青竜S。レースが始まった14年以降、7年間で経由馬延べ8頭が馬券対象に。コース経験が強みとなっているのは歴然である。
「前走は危なげない内容で押し切ってくれましたね。東京マイルも今回で4戦目。一戦ごとにしっかりして稽古もおのずと動くようになってきたし、楽しみな舞台です」
こう語るのは、今年の青竜Sの覇者
ゲンパチフォルツァを担当する東貴之助手。2走前の
端午S(4着)で手綱を取ったルメールは
ラペルーズに騎乗。今回は
木幡巧也のテン乗りとなる形ながら不安はないと胸を張る。
「普段の運動では立ち上がったりヤンチャな面を見せるけど、走ってしまえば癖もなく素直なタイプ。
端午Sは放牧明けのせいか案外な行きっぷりだったし、むしろ先入観のない騎手が乗ってくれたほうがプラスかも。何よりタクヤが勝ったレースを見て“乗りたい”と言っていたらしいので」
大混戦の見立ては関係者も同様で、東助手も相手関係のチェックに余念がない。
「前走の勝ち時計は
ラペルーズの
ヒヤシンスS(1分36秒8)より0秒7速かったし、むしろ怖いのは
レディバグかと思っていたんですけど…。現状は賞金除外のようだし、2番手くらいに付けられれば今回もうまくいくんじゃないですか」
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堀井雅広調教師は来年2月で定年を迎える。限られた重賞制覇のチャンスを逃したくない気持ちは、おそらくどの陣営よりも強いはず。その意気込みに今年は賭けてみよう。
(美浦の定年野郎・山村隆司)
東京スポーツ