昨年の
宝塚記念は単勝オッズ4.1倍(2番人気)の
クロノジェネシスが勝利。2着は単勝オッズ14.2倍(6番人気)の
キセキ、3着は単勝オッズ106.1倍(12番人気)の
モズベッロで、3連単18万3870円の高額配当決着となりました。2014年以降の過去7回中4回で3連単が“十万馬券”となるなど、近年は波乱の決着も目立っています。
今年の
宝塚記念は、
クロノジェネシス・
レイパパレ・
カレンブーケドールあたりに人気が集まりそうです。
クロノジェネシスは昨年の優勝馬。2020年末には
有馬記念も制し、春秋
グランプリ制覇の偉業を成し遂げました。今回は前走のドバイSCから中12週での参戦となりますが、休養明けを苦にするタイプではありませんし、戦績の安定感も高く評価されるでしょう。
レイパパレはデビュー戦から6連勝で前走の
大阪杯を制覇。初のGI挑戦で逃げ切り勝ちを果たした点はもちろん、終始先頭のまま出走メンバー中1位タイの上がり3ハロンタイムをマークした点も見逃せません。その
大阪杯や2走前のチャレンジCは今回と同じ阪神芝内回りのレースでしたから、コース適性の面で高く評価している方も多いと思います。
カレンブーケドールはこれまでにGIで2着が3回。初挑戦の距離だった前走の
天皇賞(春)でも3着に食い込みました。重賞未勝利とはいえ、今回のメンバー構成でも実績上位と言って良い存在。悲願のタイトル奪取に対する
モチベーションの高さでも注目を集めそうです。
上位人気になりそうなこれら3頭についてnetkeibaのAIが診断。なかでも、それほど評価されなかったのが
レイパパレでした。AI(人工知能)が導き出した、危険な人気馬と見るべきでしょう。では、なぜAIは
レイパパレを評価しなかったのでしょうか?
前述の通り、
レイパパレは阪神芝内回りのレースに十分な実績のある馬ですが、2200mのレースを使うのは今回が初めてとなります。デビュー戦と2戦目は1600mのレースでしたから、少なくともこの時点では、陣営も1マイル前後の距離が合うタイプと見ていたはず。長距離適性を問われるような展開に対応できるか否かは未知数です。
また、今回は斤量が56kg。これまでは前走の55kgが最高でしたし、過去6戦のうち3戦は52kgで出走していました。それほど馬格のある馬ではないぶん、前走から1kg増とはいえども、この負担重量がパフォーマンスに影響してしまう可能性はありそう。人気の中心であることを考えると、無視してよい
ファクターとは思えません。
ちなみに「前走の着順が1着だった馬」は2011年以降[1-1-2-24]で、3着内率が14.3%どまり。なお「前走の着順が1着、かつ馬齢が4歳以下の馬」は2011年以降[0-0-1-9]とさらに苦戦しています。レースの傾向として、前哨戦を勝ち切った馬が期待を裏切りがちである点も気になるところです。
こうした点が
レイパパレの評価を下げているのかもしれません。これをどう評価するかは判断の分かれるところですが、これまでの戦績が完璧であるぶん、この馬の実力が過小評価される確率は相当に低いでしょう。AIの
ジャッジからも、積極的には手を出しづらいところ。「勝たれたら仕方ない」と割り切り、他の馬を重視した買い目で勝負するのもひとつの手だと思います。
(文=伊吹雅也)