2021北海道シリーズは今週から函館に開催場を移す。札幌での3週間では「超大物新馬出現」とはならなかった印象だが、今週から芝の中距離戦が2回札幌の3週目まで9週連続で組まれており、昨年の
ソダシ(函館芝1800メートル)や
エフフォーリア(札幌芝2000メートル)が歩んだ道を踏襲する馬が出る可能性は十分にある。7月4日(日曜)の函館芝1800メートル新馬戦はその“開幕戦”という立ち位置だけに好素材が集結。必見のレースとなりそうだ。
この
ゴールデンカードで「鞍上ルメール」という“プレミアチケット”を手に入れたのが
ブラックボイス(牡=
父ブラックタイド、
母ソングライティング・宮田)だ。
ブラックタイド産駒は
キタサンブラックが唯一無二の存在感を示す一方で、総合的評価は微妙なものになっているが、
ブラックボイスの場合は祖母エンバーズソングがカナダの古馬牝馬チャンピオンという母系の良さも大きな魅力になっている。
美浦でゲート試験に合格後はノーザン
ファーム天栄での調整を挟んで函館入り。完歩の大きい、迫力に満ちたフットワークはひときわ、目を引く。
「乗り味の良さが一番(のセールスポイント)ですね。1週前のウッドではしっかり追ったのが初めてなのもあって少し戸惑ってましたけど、全体的にはいい走りでした。まだ子供っぽくて、周りに馬がいないとヒューヒュー鳴いたりするんですけどね。それだけに良くなる余地はまだまだたっぷりあると思ってます」と沢井助手。30日の最終追いは本馬場でルメールが騎乗する予定になっている。
ブラックボイスが「周りに馬がいないと鳴く」と表現された一方で、同じ幼さを「走る馬と一緒ならくっついて行く」と担当の平井助手が表現したのが
ブルーロワイヤル(牡=
父キングカメハメハ、
母アナスタシアブルー・音無)。一旦は札幌に入厩して芝1200メートルでのデビューを見据えていたが、“1200メートルの走りではない”との判断で函館に移動、目標を当レースに切り替えた。
「栗東坂路での追い切りも含め、古馬並みに乗り込んできました。生半可な攻め量ではないし、そのアドバンテージを生かしたいですね。基礎体力はついているし、心肺機能(の高さ)はかなり。モノはすごくいいですよ」と平井助手。こちらの鞍上には団野を予定。
当レースの注目馬はこの2頭だけでは終わらない。本馬場での1週前追いで
ブルーロワイヤルと併入した
アルナシーム(牡=父
モーリス、
母ジュベルアリ・橋口)は鞍上・
武豊でスタンバイ。他にも
リチュアル(牡=
父キングカメハメハ、
母メイデイローズ・藤沢和)などPOGでの注目馬がズラリ。函館開幕週は例年以上に“熱い”新馬戦が見られそうだ。
(立川敬太)
東京スポーツ