ゲートが開くと、まず内から
ワールドウインズがハナに立った。
横山和生の
トーセンスーリヤも速いスタートを切り、外から
ワールドウインズに並びかけて行く。
これらを
レッドジェニアルと
マイネルファンロンが一気にかわして1コーナーへと入って行った。
「特にこれといったレースプランは決めていませんでした。スタートを上手に切って、周りがサーッと流れていったので、気分よく走らせるようにしました」と横山。
1番人気に支持された
カフェファラオもまずまずのスタートを切り、中団の内を進んでいる。
レッドジェニアルが先頭で、掛かり気味の
マイネルファンロンが2番手で1、2コーナーを回り、向正面へ。
トーセンスーリヤは、これら2頭から3馬身ほど離れた3番手を進んでいる。
「イメージどおりでした。中間の調教で具合のよさが伝わってきていたので、あとは自分が焦らないようにと考えていました」
横山がそう話したように、
トーセンスーリヤは引っ張り切れないほどの手応えだったが、無理に前を追いかけず、前の2頭との差は5馬身ほどにひろがっていた。
1000m通過は58秒5という速い流れになった。
トーセンスーリヤから4、5馬身後ろの中団につけた
カフェファラオは、軽く気合をつけながらの追走になっている。外には昨年の覇者
アドマイヤジャスタがいるいい位置ではあるが、やや苦しいのか。
3コーナーに入ると、
トーセンスーリヤが少しずつ前との差を詰める。4コーナーを回りながら、ラスト400m地点で前の2頭を並ぶ間もなくかわし、馬場の傷んだ内3頭分ほどをあけて直線へ。
ラスト200m地点で、
トーセンスーリヤは2馬身ほど抜け出しており、そこからさらに加速。横山の右ステッキを受けて末脚を伸ばして独走態勢に入り、2着を3馬身突き放してゴールした。
「かわされることはないだろうなと思いながら乗っていました。またこの子と一緒に勝てて嬉しいです」
そう話した横山は、8戦連続12戦目のレース騎乗となったこの馬で、昨年の
新潟大賞典以来の重賞制覇をなし遂げた。
2着以下はハナ、クビ、ハナ、クビ……という大激戦のなか、力をフルに引き出し、強さを見せつけた。
(文:島田明宏)