白毛のアイドル・
ソダシに熱い視線が注がれた中、
秋華賞を制したのは同じ勝負服の
アカイトリノムスメ。牝馬3冠を成し遂げた
アパパネとの母娘制覇は、両馬を手がけた
国枝栄調教師の手腕を改めてクローズアップさせることに。やはり「牝馬の国枝」は常にチェックを欠かせない。
2歳牝馬限定のGIII
アルテミスS(30日=東京芝1600メートル)には、その国枝厩舎から
サークルオブライフと
ロムネヤがエントリー。前者が未勝利戦、後者は新馬戦を勝った直後の一戦だけに、ここが試金石となるが、冒頭の
アカイトリノムスメや
アパパネ、さらには
アーモンドアイも経験しているのが2歳秋時点での東京マイルの舞台。今後に向けて重要な位置付けとなる一戦なのは間違いあるまい。
今さらながらで気恥ずかしさも感じつつ、国枝調教師に改めて“牝馬の極意”を尋ねてみると、「牝馬の場合、普段の調教ではあまり
ギシギシ乗り込まないこと。鍛えるというよりは、気持ちを壊さないようにするのが大事なんだ。結局、走るのは馬だからね。走りに目覚めるのが遅い牡馬なら鍛えることも必要なんだけど、牝馬は(目覚めるのが)早いから、すぐに走ることを覚えて理解してしまう。早く気付いて、物覚えも早い。人間でも女子のほうがオマセだろう」と返答。
さらには「牡馬はビシビシやると目覚めるけど、牝馬はやり過ぎてはダメ。とくにカイバ食いが細く、体もきゃしゃな牝馬は言葉は悪いけどある意味、適当にやるのが一番なんだ。強くしようとハードに調教すればするほど牝馬は意固地になる。要するに臍(ヘソ)を曲げさせないことが何より大事なんだよな」と続けた。
では本題の2頭の現在の立ち位置は?
サークルオブライフの前走は、前半は離れた最後方を進んだが、徐々に加速して4角では早くも2番手に。そこから直線でもうひと伸びして押し切った。一方の
ロムネヤはダッシュ良くハナに立ち、直線では2着馬(次走で未勝利V)との叩き合いに。それをしぶとくクビ差で制する対照的な競馬ぶりだった。
「
サークルオブライフは重賞で前走みたいな大味な競馬をしては通用しない。しまいの脚をしっかり生かさないとね。本来はスタミナが持ち味で、1600メートルは本質的には少し短いかもしれないが、(GIにつながる)今後のレースを考えると、しっかり対応してほしいよね。
ロムネヤはスピードがあって、いいセンスを持っている。重賞だと先に行くだけでは厳しいから、こちらも脚をためてしまいを生かす、相手に合わせた競馬をする必要があるかな。いずれにしても紛れのない東京のマイル戦で結果を出せれば、レベルの高さの証明になるからね」
国枝調教師は両馬がこの
アルテミスSで結果を出せば当然、次走は2歳女王決定戦の阪神JFになることを示唆した。果たして甲乙つけがたい名門厩舎の若き乙女がどのような答えを出すのか注目してほしい。
(立川敬太)
東京スポーツ