GI馬6頭の豪華競演となった第38回
マイルチャンピオンシップのゲートが開いた。
最内枠の
ホウオウアマゾンが大方の予想どおりハナに立った。
2番手は
クリノガウディー、差なく3番人気の
サリオスが掛かり気味につづく。
4番人気の
グレナディアガーズも好位につけ、それらから2馬身ほど後ろの馬群のなかに2番人気の
シュネルマイスターがいる。
1番人気に支持された
クリストフ・ルメールの
グランアレグリアは、そこからさらに2馬身ほど後ろの外目にいる。
「ちょっと後ろになりましたが、
グランアレグリアはスーパーホースなので、気にしていませんでした」とルメール。
単騎逃げの形に持ち込んだ
ホウオウアマゾンはマイペースで進み、前半800m通過は47秒6。後半800mが45秒0だったことが示すように、これだけのメンバーが揃った良馬場のマイルGIにしてはゆったりとした流れになった。
ホウオウアマゾンから最後尾までは10馬身あるかどうか。
3、4コーナーを回りながら馬群はさらに密度を増し、ルメールは
グランアレグリアを外に持ち出そうとしている。
ホウオウアマゾンが先頭のまま直線へ。
サリオス、
インディチャンプらが内の
ホウオウアマゾンに並びかける。
その後ろにいる
シュネルマイスターは追いながら少し外に進路を変え、
インディチャンプとその外の
ダーリントンホールとの間にできた隙間からスパートする。
若干ロスがあった
シュネルマイスターに対して、
グランアレグリアは前に他馬のいない外から気持ちよさそうにス
トライドを伸ばす。
「直線では大外に出して伸びることができた。今日は本当の
グランアレグリアを見せることができました」とルメール。
ラスト200mを切ったところで
サリオスが先頭に立ち、それを
インディチャンプがかわしにかかる。
しかし、ルメールの右鞭に応えてスパートした
グランアレグリアの伸び脚がきわだっている。
シュネルマイスターと
ダノンザキッドも追い上げてきたが、
グランアレグリアがまったく危なげない走りで、史上6頭目となる
マイルチャンピオンシップ連覇を果たした。
勝負どころで密集した馬群の外に出してコースをロスすることをまったく恐れていなかったルメールの、馬に対する信頼が伝わってきた。
2着の
シュネルマイスターは、4コーナーから直線入口にかけて、もう少し前との差を詰めることができるとよかったのだが、前も外も他馬に塞がれていた。馬群がバラけづらい展開になったことが、内枠を引いたこの馬には痛かった。
3着の
ダノンザキッドは、折り合えたことが最後の伸びにつながった。
これら2頭と、5着に逃げ粘った
ホウオウアマゾンら、強い3歳世代が、絶対女王がターフを去ったあとのマイル界を引っ張って行きそうだ。
(文:島田明宏)