「
ジャパンC・G1」(28日、東京)
令和の無敗3冠馬
コントレイルが、いよいよ現役最終戦を迎える。21年は
大阪杯3着、秋の天皇賞2着とともに惜敗に終わったものの、ここできっちり有終の美を飾りたいところだ。刻一刻と迫る決戦を前に、管理する
矢作芳人調教師(60)=栗東=がインタビューに応じ、胸の内を明かした。
◇ ◇
-
コントレイルの引退レースが迫ってきた。今の心境は。
「アッという間でしたし、もちろん、寂しさはありますね。先日のブ
リーダーズCに関しては挑戦で、ある意味、気持ち的に楽なところもあったけど、今回に関してはやはり結果を求めることと同時に、何としても馬が無事でなければいけない。その2つの命題がある。そういう点で非常に緊張していますし、身の引き締まる思いです」
-改めて、
コントレイルは師にとってどんな存在か。
「
シンザン(戦後初、史上2頭目の3冠馬)に憧れてホースマンになりましたからね。3冠というものに、非常に特別な思いがありました。まだホースマンとしては道半ばなんだけど、一つ自分の夢というか、目標を達成してくれた宝物ですよね。最近、3冠やブ
リーダーズCもそうですが、昔のことをよく思い出すようになりました。初心っていうのかな。もちろん、こういった目標に向かって馬をやってきたわけだけど、若い頃はなかなか現実としては考えにくかったですから。よくここまで来たという思いもありますね」
-前走の
天皇賞・秋は2着。ここ3戦は未勝利が続いている。
「前走に関しては本当にゲートの中が悪かったし、あの体勢の中、(福永)祐一はよく出したなと思う。ただ、そこでの位置取りの差というのは感じましたよね。20年の
ジャパンCもそうだけど、負けたレースは前をとらえ切れない形だから。
大阪杯に関しては位置取り以前の問題で(重い)馬場に尽きるけど、
ジャパンCと前走に関しては位置取りの差かな。そこまで操縦性のいい馬じゃないし、難しいんですけどね」
-ラストランに向け、1週前は栗東CWで6F76秒8という破格の時計。
「時計は速かったけど、いつも通りの負荷だと思っています。あれだけ内も回っているのでね。ただ、動きに関しては言うことないんじゃないでしょうか。正直、落ちるのが不安でした。天皇賞は負けられないという気持ちで、休み明けだったけど、それだけの仕上げをしましたから。なかなかあそこまで仕上げて、維持したり、上向かせるというのは難しいけど、この動きで下がってはいない、少なくとも前走の出来にあるというのを確信しました」
-外国馬3頭に、4世代のダービー馬もそろう。相手関係はどう見るか。
「どの馬が、とは立場的になかなか言えないけど、今年の3歳世代は強いなと思います。そういう言葉で理解してもらえれば。外国馬で言えばブルームは、特に前走(ブ
リーダーズCターフ2着)でいいレースをしていたけど、海外の馬に対して、日本の馬場では負けられないと思っています。もちろん良馬場で、ですけどね」
-世が世なら、例えば海外挑戦など、違った馬生があったかもしれない。
「そうですね…。こればかりは仕方のないことなのかもしれないけど、ただこの
パンデミックを振り返った時に、ファンの記憶に
コントレイルという馬が出てくる、そんな象徴的な存在ではないのかなと感じますね」
-無観客の時期もあり、もっと走る姿を見たいという声も聞く。
「もちろん走らせたかったという気持ちはあります。ただ、一般的な世界の競馬の常識を考えれば、去年3冠を獲った段階で引退して、種牡馬入りしていてもおかしくはないですよね。日本はファンに対する思いが強い国でもありますし、今年いっぱい走ったということで、ご理解いただければ。ファンの方々の思いは感じていますし、ぜひ勝って締めくくりたいですね」
提供:デイリースポーツ