水の浮く不良馬場の
白山大賞典をコースレコードで制していた
メイショウカズサが、重馬場となったここでも同じように危なげなく逃げ切って見せた。思えば重賞初勝利だった
プロキオンSも雨の重馬場でレコード勝ち。足抜きのいいダートは合っているのだろう。
スタートしてのダッシュがよかったのは隣の
メイショウダジンだが、同馬主だからというわけでもないだろうが、道を譲られるように
メイショウカズサが予想通り逃げる形となった。レース中盤でペースを落として、1000m通過が63秒9というスローペース。勝因は、向正面中間から早めにペースアップしたこと。後続に早めから脚を使わせ、
ヴェルテックス、
ウェスタールンドら、直線切れ味勝負の馬たちの末脚を完璧に封じた。
「馬にやる気がないなかで、なんとか勝ってくれた」という
メイショウカズサの
川田将雅騎手のコメントが興味深い。ゲート入りからして嫌がり、なかなか入ろうとしなかった。後続を引き離して2周目の3〜4コーナーを回るときも、川田騎手は右の肩ムチを何度か入れながら慎重にコーナーを回っていたが、初めての左回りだったためか、馬にレースを教えているような感じにも見えた。それでいて危なげなく勝ってしまうのだから、着差以上に強かったということ。ただ勝つときは完勝だが、負けるときは大敗もあり、気分で走るところがあるのかもしれない。それにしても川田騎手ではこれで3戦3勝なので、川田騎手はそのあたりうまくコントロールできているのだろう。
昨年、コンマ1秒差で4着だった地元の
タービランスが今回も能力の高さを見せた。この馬も気性的に難しく、先頭に立つとレースをやめてしまうところがあり、それゆえ昨年までは着順に“2”が多かった。それでも今年になって、報知
オールスターCや前走
埼玉新聞栄冠賞ではゴール前で突き抜けるレースぶりも見せていた。ペースが上がった向正面から3コーナーでもう少しついて行ければ際どいレースになったと思えなくもないが、勝負どころで置かれてしまうのもこの馬の特徴。それでも直線では前に目標となる馬がいたため、直線しっかり伸びて2着争いを制した。
前走オープン3着だった
ヴェルテックスを競り落とし、
ウェスタールンドも振り切ったということでは、8歳でも中央オープン以上の能力はあるということ。それにしても今回の中央勢はGIII/JpnIII勝ち馬が2頭だけというやや手薄なメンバーで、
タービランスにとってはダート
グレード(しかもJpnII)を勝つには地元で千載一遇のチャンスだっただけに2着は残念だった。
ヴェルテックスは
メイショウカズサの直後をぴたりと追走していたが、ペースアップされたところで差を広げられ、懸命に追ったが最後まで差を詰めることができなかった。流れ次第ということもあるだろうし、オープン入着までという能力差は埋められなかった。
ウェスタールンドは昨年同様後方からの追走。能力差のあるメンバーもいる地方のダート
グレードで、中央の有力馬が縦長の後方追走というのもめずらしい。今回は前述のとおり、
メイショウカズサが早めのスパートで後続の末脚を封じる流れに持ち込んだことで、
ウェスタールンドに向く展開にはならず。昨年はメンバー中最速の36秒1という上がりでハナ+アタマ差の3着という際どい勝負に持ち込んだが、今年はそれほどの切れも見られなかった。