今年で45回目を迎える「
東京2歳優駿牝馬」。2010年から地方交流重賞となり、同年に創設されたグランダム・
ジャパンの2歳シーズン最終戦に指定された。
地方競馬の2歳女王決定戦、そして一年を締めくくる大一番として注目のレースだ。
過去10年のデータを振り返ると、1、2番人気の成績は【7319】とまずまず。勝ち馬を見ると上位人気が強い印象だが、7番人気以下の伏兵も2勝、2着4回、3着4回と奮闘。経験の浅い2歳牝馬の戦いとあって、やや波乱含みとなっている。
ステップとして注目は
ローレル賞。同レースの3着以内馬は【44413】。また、
エーデルワイス賞の3着以内馬も【4208】と4勝を挙げており、この内の1頭は18年に
エーデルワイス賞、
ローレル賞、
東京2歳優駿牝馬と連勝した
アークヴィグラスである。
所属別の成績は川崎2勝、浦和1勝、大井と船橋が3勝、名古屋1勝だが、デビュー時の所属で見ると大井、浦和、川崎、船橋が1勝ずつ。残り6勝はホッカイドウ競馬出身だった。
脚質的には過去10年の勝ち馬の内、2頭の逃げ切りを含め9頭が4角4番手以内。大井のマイルは内回りで直線がやや短めだけにある程度の位置に付けられる器用さが求められる。
以上のデータと照らし合わせると、今年の出走馬で注目は。
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スティールルージュ>
ホッカイドウ競馬の名門・
角川秀樹厩舎所属。過去10年の当レースで同厩舎出身馬は2勝を挙げている。この馬は
ローレル賞を勝って重賞2勝目を挙げた。その
ローレル賞は長距離輸送や左回り、マイルと初物尽くしという条件を乗り越え、2番手から押し切る強い競馬。距離が延びて良さが出た印象もあり、今後が楽しみな1頭。折り合いが課題だったが、レース後に
桑村真明騎手が「初の左回りで馬が戸惑っていたが、逆にそれで折り合いをつけられた。結果的に強い競馬で成長も感じられたし、これからも活躍できると思う」と話していて、初の大井遠征も問題なさそうだ。
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プラチナプライド>
ローレル賞は勝った
スティールルージュからハナ差の2着。上がり3Fはメンバー最速と素晴らしい末脚を見せた。母は故川島正行調教師が手がけた名牝で、地方で重賞6勝を挙げた
ノットオーソリティ。その母は当レース5着だっただけに娘に雪辱の期待がかかる。デビューから2戦は母譲りのスピードを発揮して圧勝。
ローレル賞で土は付いたものの、初めて先行勢の後ろで控える競馬ができたのは収穫だった。この時期の2歳牝馬はまだもまれる経験をしたことがない馬が多く、今回は
ローレル賞以上に前が速くなりそうなメンバーで前走の経験が生きる。課題は
ローレル賞がデビュー以来、最軽量だった馬体重。スピードだけでなくやや繊細な面も母譲りか。もう少しふっくらしているのが理想だ。
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スピーディキック>
JRA勢を退け、
エーデルワイス賞を制覇。ハイペースで流れが向いたとはいえ、勝負どころで前が詰まりながらも馬群を割って差し切ったのは力があるからこそ。
JBC2歳優駿は末脚不発で7着に終わったが、1200mから1800mへ一気の距離延長に戸惑いもあったか。距離はこなせそうな雰囲気があるだけに、巻き返しても不思議はない。
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ロマンスロード>
近年のトレンドは“連勝馬”。勝ち馬は近3年連続で5、4、4連勝で当レースを制している。しかも、近2年はデビューから無敗での制覇だった。今回唯一、デビューから無敗で臨むのが当馬。4戦で2着につけた差は合計20馬身。スピードの違いで逃げる競馬が続いているが、
テンションが高いタイプではないので控える競馬もできそう。重賞級とは初対戦だが、段階的に距離を延ばして経験を積んでいるのは強み。
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レディオガガ>
過去10年で当レース3勝、2着1回、3着1回の好成績を誇る
森泰斗騎手とコンビ。
ローレル賞はこれまでのように逃げられず、戦前に心配していた若さが出てしまった。デビューからの3連勝はいずれも圧倒的なスピードを見せつけるもので素質自体は高い。前走の経験を糧に仕切り直す。
(文・秋田麻由子)
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