「
朝日杯FS・G1」(19日、阪神)
“C・デムーロ×
セリフォス”-。運命に導かれた人馬が2歳マイル王決定戦で主役を担う。始まりは04年
皐月賞。兄ミルコが
ダイワメジャーで制した姿に、日本への憧れを強くした当時12歳のクリスチャン。17年の時を経て、今回そのメジャーの息子とコンビを組み、自身4度目のJRA・G1制覇に挑む。
04年
皐月賞-。勝った
ダイワメジャーの傍らに、ネクタイ、スーツ姿の緊張した表情で口取りに収まる少年の姿があった。当時12歳。C・デムーロが振り返る。
「覚えているよ。あんなに多くのお客さんがいる競馬場でレースを観たのは初めてだった。歓声がすごかったことが記憶に残っている。あと、引き上げてきたミルコが馬の上で立ち上がって、落とされたんだ」。ちょうど本格的に乗馬を始めた頃でもあり、ジョッキーになることが夢だったクリスチャンにとって、日本で活躍する兄の姿は憧れだった。「この時、将来は日本でも乗りたいなと思った」と明かす。
来日したのはこの時が初めて。2週間の滞在だった。「お父さんが食わず嫌いで、日本ではパンしか食べられなくて。買ったパンは僕が持って歩いていた」。20年9月に68歳で亡くなった父
ジョバンニさんとの思い出を懐かしそうにした。
あれから17年の月日が流れた。
ダイワメジャーは種牡馬として活躍。クリスチャンは世界のトップジョッキーへと登り詰めた。そして、この人馬の縁は引き寄せられるように交差する。今週、G1の舞台でコンビを組むのが、3戦無敗の
ダイワメジャー産駒セリフォスだ。
1週前追い切りに騎乗し、「
グッドホース。力強い馬なので行きたがるけど、それも強い馬の特徴。トップクラスの馬じゃないと3連勝はできないよ」と自信の表情を浮かべる。「一緒に写真を撮った馬の子。勝ったら面白いよね」。描くのはその背にまたがって口取りに収まる姿。思い出を胸に、相棒を2歳王者へと導く。
提供:デイリースポーツ