「
有馬記念・G1」(26日、中山)
夕闇の訪れとともに始まった
クロノジェネシスの引退式。スポッ
トライトに照らされ、関係者や残った約1800人のファンに見守られながら最後の勇姿を披露した。
主戦の北村友も駆けつけた。2021年5月の阪神競馬で落馬し、10カ所以上を骨折。まだ休養中の身だけに、マイクを持つと場内から温かい拍手が沸き起こる。「今この場に立っているのが仮想現実というか、VRの世界観というか、フワフワした感覚です」。2歳のデビュー戦から、21年のドバイシーマCまで全17戦中14戦で手綱を取った。
3歳時には
桜花賞、
オークスと連続3着。牝馬3冠ラストの
秋華賞でようやくG1タイトルを手にした。「
秋華賞は“ここで勝たないと後がない”と、自分にプレッシャーをかけて乗っていた。結果を出せて良かったです」。思い出は尽きない。古馬になってからは牡馬を相手に堂々たるレースを続けた。「この馬の成長には驚かされるばかり。初めて体験する馬でした。ここまでいろんな経験をさせてもらってありがとう。感謝しかありません」と相棒に頭を下げた。
今後は28日まで競馬場に滞在し、年内に北海道安平町のノーザン
ファームへ移動する。気になる最初の種付け相手は未定。ノーザン
ファームの中島文彦GMは「いろいろな種牡馬をつけられる馬。(相手は)当日朝に決めようと思っています」と話すにとどまった。
史上3頭目の
グランプリ3連勝を含むG1・4勝。サンデーレーシングの吉田俊介代表は「子どもで、この馬のように
凱旋門賞に挑戦する日を待っていてください」と“2代目”に思いをはせていた。
提供:デイリースポーツ