「
ホープフルS・G1」(28日、中山)
また、
タケシだ!。横山武に導かれ、2番人気の
キラーアビリティが、3番手から直線鮮やかに抜け出して快勝。G1初タイトルを手にした。鞍上は年間G1・5勝目となり、23歳0カ月7日での達成は、和田竜の持つ23歳6カ月2日を更新する最年少記録となった。2着には4番人気の
ジャスティンパレス、3着には8番人気の
ラーグルフが入り、1番人気の
コマンドラインは12着に終わった。
2021年の
中央競馬の締めくくりも、この男だった。まさに“横山武”時代の到来を印象づける圧巻劇だった。2日前の
有馬記念と同じ勝負服をまとい、今度は将来性豊かな
キラーアビリティを頂点に導いた。
序盤は内々の3番手で課題の折り合いに専念。抜群の手応えで直線に向き、残り100メートル手前で抜け出すと、後続に1馬身半差をつけて完勝した。「向正面に入ったらスッと
リラックスしてくれたので、これならと思いました」と振り返った。
騎乗予定だった福永が
香港スプリントで骨折したため、急きょ騎乗依頼を受けた。中間は2週連続で栗東へ駆け付け、調教にまたがりコンタクトを取った。「口向きが難しくて一筋縄ではいかないなぁ、と思いました。そこが(きょうは)一番の不安でした」。心配も取り越し苦労に終わった。
斎藤崇師も感無量の面持ち。厩舎の看板馬だった
クロノジェネシスは、
有馬記念を最後にターフを去ったばかり。「寂しくなったところへ、1頭出てきてくれて、また厩舎も盛り上がりますね。まだ課題もありますが、成長してくれたら。クラシックを狙っていきたい。ジョッキーもうまく乗ってくれました」と喜びをかみしめた。
目標にしていたJRA年間100勝を初めて達成した鞍上は「喜怒哀楽の一年」と振り返った。G1初Vの
皐月賞を“喜”、有馬前日に受けた騎乗停止を自身への“怒”、鼻差2着のダービーを“哀”、そして有馬Vを“楽”とした。史上最年少となる年間JRA・G1、5勝を挙げ、さらに12RではJRA通算300勝も達成し、最高の形で締めた。
飛ぶ鳥を落とす勢いの若武者は「関係者はもちろん、一番に頑張ってくれているのは馬なので、感謝です」。人馬にとってさらなる飛躍の新しい一年が、間もなくやって来る。
提供:デイリースポーツ