今春のクラシックの最有力候補は何といっても我が社杯・東京スポーツ杯2歳Sを圧勝した
イクイノックスだろう。改めてレース映像を見ても本当に強い内容だったし、トレセンで取材していると「獣医さんの話では“とにかく
イクイノックスはケタ違い。中身(息や内臓面)もすごい”って」といった強烈なウワサ話まで耳に入り、
イクイノックスがいかにスペシャルな一頭であるかがよく分かる。
そのクラシック大本命は
皐月賞への直行を選択。“高みの見物”で本番を待つラ
イバルに対して、
共同通信杯(13日、東京芝1800メートル)で脅威と感じさせる走りを見せたいのが現時点で
イクイノックスに“最も近づいた馬”
アサヒだろう。
東スポ杯(2着)では0秒4差の完敗だったが、レース翌週には「まだまだこれからの馬。今回はこれだけ差をつけられたけど、今後成長していって春にはどれだけ差を詰められるか、大いに期待したい」と金成調教師は前向きに話していた。
あれから約3か月、師の見込んだ“成長度”はどんなものか? 1月上旬に帰厩した
アサヒはここに向けて順調な調整を続けてきた。調教パートナーの加山助手は「体は10キロくらい増えて出られそう。いい休養になったようですね。後ろ(トモ)に力がついて(昨秋よりも)走りの
バランスが良くなったし、“こうなったらいい”と思っていた姿に一歩近づいた感じです」と、まずは肉体面の変化を伝えた後に「この中間も折り合い面に気をつけつつ調整。東スポ杯でもそれまでの経験が生きて上手に走れていましたが、よりコントロールもしやすくなっていますよ」と精神面にも言及。心身ともに着実な成長を遂げているようだ。
改めてデビュー時を振り返れば、陣営は勝利へのあり余る手応えを持って送り出しながらも、新馬→未勝利戦では連続2着。相手に恵まれない不運もあったが、「それもまあ、馬にはいい経験でしたから」と金成調教師は口にする。“想定外”の足踏みも、強敵相手にモマれた経験値が馬のレベルアップにつながったととらえれば、結果オーライ。そして短距離志向の強い
カレンブラックヒルの産駒となれば距離も課題となろうが、「マイルの馬にするのは簡単。ここまで千八の距離ばかり使ってきたけど、ずっと二千寄りの意識で競馬をさせてきた。前走でそんな(距離に対応できるような)競馬はできたからね」と先を見据えた準備もまた万端だ。
“ムダ撃ち”せずにクラシックを目指すなら、ここは負けられない戦いにもなる。「ほかの馬も成長はしているでしょうけど、この馬も成長していますから」と加山助手。まずは新馬戦で後塵を拝した
ジオグリフとの“0秒2差”を逆転し、その先に待ち構える
イクイノックスとの差も縮まったと感じられるハイパフォーマンスを期待したい。
(美浦の両刀野郎・山口心平)
東京スポーツ