雨のなか、稍重の東京芝1800mコースに11頭が飛び出した。
2番人気の
アサヒが立ち遅れ、最後方からのレースとなった。向正面入口で
ビーアストニッシドが先頭に立った。
アバンチュリエと
レッドモンレーヴが掛かり気味につづき、1番人気の
ジオグリフはそれらの後ろにつけた。
松山弘平が乗る3番人気の
ダノンベルーガは、
ジオグリフをマークするように、その1馬身半ほど後ろの中団外目を進んでいる。内の
エイシンシュトルムや後ろの
ダノンスコーピオンがやや行きたがっているのに対し、
ダノンベルーガは折り合っている。抜群の手応えではあるが、ほどよく力が抜けた状態で流れに乗っていた。テン乗りの松山が、馬と呼吸を合わせ、リズムよく走らせたことにより、脚が溜まった。
ビーアストニッシドが先頭のまま3、4コーナーを回って行く。
先頭から5馬身ほど後ろにいる
ダノンベルーガは、それまで折り合っていたぶんエンジンのかかりが遅くなったのか、鞍上の松山が手を動かしながら前との差を詰めて行く。
ビーアストニッシドが先頭で直線に入り、内から粘り込みをはかる。
レッドモンレーヴ、
ジュンブロッサムらが外から襲いかかるが、
ビーアストニッシドは並ばせない。
ラスト400mを切ったところで、
レッドモンレーヴと
ジュンブロッサムの間から
ジオグリフが伸びてきた。それらの外に進路を取った
ダノンベルーガの松山が右ステッキで
ゴーサインを出す。
ラスト200m地点でもまだ
ビーアストニッシドが先頭で粘っていたが、
ダノンベルーガの勢いが突出していた。道悪をモノともせずに突き抜け、デビュー2戦目にして重賞初制覇を遂げた。1馬身半差の2着は
ジオグリフ、さらに1馬身半遅れた3着に
ビーアストニッシドが残った。
ダノンベルーガは、昨年11月に東京芝2000mで行われた新馬戦では、道中は追っつけ気味に進み、圧巻の切れ味で2着を2馬身突き放した。競馬を覚えたぶん、今日の道中では前進気勢を見せてはいたが、それでも折り合い、豪快に伸びた。
皐月賞はもちろん、距離が延びるダービーでも存分に力を発揮できそうだ。クラシックの有力候補が登場した。
(文:島田明宏)