スタート直後の芝を抜け、重馬場のダートコースに入ったところで
サンライズホープがハナに立った。内から
ダイワキャグニー、外から
吉田隼人の
ソダシがつづく。
福永祐一が乗る昨年の覇者
カフェファラオは、
ソダシから2馬身ほど後ろの好位を追走する。
「レース前に堀調教師と打ち合わせをして、作戦どおりのポジションで行けました。あとは、この馬の気分を損ねないようにと、そこだけ注意しながら乗っていました。ポジションを取れるか取れないかで馬の気分が変わるように感じたので、スタートに気をつけました。スタートはそんなに速くなかったのですが、リカバリーが上手くいき、砂を被らない位置で進められました」と福永。
向正面で
テイエムサウスダンが外から進出し、3コーナー手前で先頭を奪い切った。
テイエムサウスダンに外から抜かれるとき、吉田が手綱を引いて
ソダシが少し首を上げるような仕草をした。それでも過度にエキサイトすることなく、自身のポジションを守って走りつづけた。
テイエムサウスダンが先頭のまま3、4コーナーを回って行く。
外から
ソダシが
サンライズホープをかわして2番手に上がった。
さらに外から
カフェファラオが抜群の手応えで4コーナーを回り、
ソダシに並びかけながら直線に向いた。ラスト400m地点で
ソダシと横並びになり、福永が手綱を持ち直して追い出すと、さらに加速。右ステッキを合図に、ラスト200m付近で内の
テイエムサウスダンをかわし、独走態勢に入る。
「抜け出して気持ちを切らさないように、ぼくが遊ばれないように気をつけました」と福永。
内では
テイエムサウスダンがしぶとく伸びている。3番手の
ソダシも、後ろから迫りくる
ソリストサンダーに抜かせない。
余裕たっぷりに抜け出した
カフェファラオが、2着の
テイエムサウスダンに2馬身半の差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。勝ちタイムはコースレコードタイの1分33秒8。
ソダシは、2着から半馬身差の3着。1番人気の
レッドルゼルは6着だった。
11着に敗れた昨年の
チャンピオンズカップ以来の実戦となった
カフェファラオは、レース史上2頭目となる連覇を達成。福永にとっては、昨年12月の香港での落馬負傷から復帰して3週目での、嬉しいGI勝利となった。
「復帰していない段階で騎乗依頼をいただいていたので、しっかりとしたいい状態で復帰しようと強く思っていました。関係者の期待に応えたいという気持ちが強かったので、今日はいい仕事ができたと思います」
そう話した福永の冷静な手綱さばきで、素質馬が輝きを取り戻した。
(文:島田明宏)