「
桜花賞・G1」(10日、阪神)
第82代桜の女王に輝いたのは7番人気の
スターズオンアース。根性で馬群から抜け出し、鼻差の大接戦を制した。管理する
高柳瑞樹調教師(46)=美浦=は、開業12年目でうれしいG1初制覇となった。2着は3番人気の
ウォーターナビレラ、3着には6番人気
ナムラクレアが入り、1番人気の
ナミュールは10着に沈んだ。
狭いスペースを割って伸びてきた
スターズオンアースが、先に抜け出した
ウォーターナビレラに襲いかかる。武兄弟の夢か、川田の執念か-。ビッシリ馬体を並べてゴール。「肉眼ではどっちが、という感じ。祈るような気持ちでした」と高柳瑞師。Vの確信はなく、勝利の行方は写真判定に委ねられた。
数分後、確定板のてっぺんに「8」が点滅。鼻差での戴冠に、川田は「とてもホッとしました」と胸をなで下ろした。そして、開業12年目でG1初制覇となった指揮官も「本当に能力のある馬。結果が出せて良かった。すぐに勝てるなんて思っていなかったので、長かったのか、短かったのか」と、これまでの道のりを思い返しながら喜びをかみしめた。
2戦目で初勝利を挙げたものの、次の勝利が遠い。
赤松賞は
ナミュールに完敗の3着。続く
フェアリーSと
デイリー杯クイーンCでも、勝ち馬の決め手に屈して連続2着に終わった。どうしても届かない勲章。その要因がモタれ癖にあるとしたトレーナーは、大一番を前にハミを変更。そして「確認、理解してもらいたくて追い切りに乗ってもらいました」と、テン乗りとなる川田に美浦へ駆け付けてもらい、この馬の全てを把握してもらえるよう手を尽くした。
“ポテンシャルの高さ”と“乗り難しさ”を確認できた鞍上は、序盤の進み具合が悪くても馬のリズムを重視。いつもとは違う後ろの位置取りにも慌てず見事なエスコート。そして、「彼女の気持ちの強さが、勝ち切ることにつながってくれた」とVを射止めた根性をたたえた。
次の
ターゲットは当然、
オークス(5月22日・東京)での2冠制覇。「状態を見てオーナーと相談します。ポテンシャル的には距離は延びてもいいと思います」と指揮官。そして「
桜花賞馬になったことで立場も変わりましたので、彼女の進むべき道を歩んでいければ」と川田。仁川で花開いた
ニューヒロインが、堂々と
チャンピオンロードを突き進んでいく。
提供:デイリースポーツ