「
安田記念・G1」(6月5日)
若き頃の私は、誕生日が一緒だった
田中勝春騎手に対して勝手に親近感を抱き、のちに熱狂的な“カッチー信者”に-。それゆえ、92年
安田記念で
ヤマニンゼファーが勝った時は、もう狂喜乱舞。あのド派手な
ガッツポーズは、私のためにしてくれたのだと勘違いしたほどだ。
あれからはや30年。日本競馬は飛躍的な進化を遂げた。92年の勝ち時計は1分33秒8。今ではとても通用しない数字だが、それでもあの勝負根性があればもしかして…と、いいように妄想するのも、競馬の一つの楽しみ方ではないだろうか。
今回、取り上げた
カラテは、初挑戦した21年がブービーの13着。走破時計は1分33秒0。リベンジするのは容易ではないが、同馬の牝系は
ステイゴールドでおなじみの
ロイヤルサッシュ系。確かな地力強化と、遅咲きの血が花開けば…と、21年からの
ステップアップを期待したくなる。
名門
ロイヤルサッシュ系については以前にも取り上げたが、この一族は“体が小さい”のが特徴的だ。
サッカーボーイや
ステイゴールド、
ショウナンパンドラが代表例。だが、同馬は500キロを優に超える大柄に出た。
これは恐らく、現役時代520〜540キロで走っていた父
トゥザグローリーの影響で、生産者にとっては狙い通りの体つきに出たのではないか。また、同じ父
父キングカメハメハ×
ロイヤルサッシュ系の配合にはマイル重賞3勝馬
ケイデンスコールがおり、骨量豊かな父系の血がこの距離に適したスピードを引き出したように思える。
父
トゥザグローリーは22年1月、
イーストスタッドからカッチーのお父様が営む田中春美牧場へ移動し、引き続き種牡馬として繋養されているそうだ。まだ15歳。息子の
カラテには、新天地で頑張る父に届ける気合の入った走りを期待したい。(デイリースポーツ・松浦孝司)
提供:デイリースポーツ