ラジオNIKKEI賞(旧称・ラジオたんぱ賞)はダービー当日に行われていた駒草賞(東京芝10ハロン)とともに「残念ダービー」の異名を持っていた。ダービーの除外馬や敗戦組がその無念を晴らす格好の舞台として機能してきたからだ。
しかし06年から別定→ハンデ戦に変更。86年の勝ち馬
ダイナコスモス(
皐月賞1着→ダービー5着)のような超一流馬のリベンジ参戦は実質的に不可能となった。今年もダービー出走馬および除外馬(4頭)の参戦はなく残念ダービー感はゼロとなっている。
一方、ダート界の“ダービー”が大変革されることが20日、NAR(
地方競馬全国協会)と
JRAの合同記者会見の場で発表された。南関東限定だった
羽田盃(大井9ハロン)と
東京ダービー(大井10ハロン)が24年から
JRA所属馬も参戦可能となり、1着賞金が5000万円から1億円に増額される
東京ダービーが南関東3冠の最高峰に。
すでに
JRA勢も参戦可能な
ジャパンダートダービー(大井10ハロン)は現行の7月から10月上旬に移設、1着賞金は6000万円から7000万円への微増で名称も“ダービー同士”での混同を避けるため変更予定だという。この大改革の余波は当然ながら
JRAの番組構成にも影響を与える。
JRAの3歳ダート重賞は
ユニコーンS(東京8ハロン)と
レパードS(新潟9ハロン)の2つ。6月中旬に行われる前者(今年は6月19日)から
ジャパンダートダービー(7月13日)への転戦は定番ローテで今年の勝ち馬
ペイシャエスも参戦を表明している。しかし
東京ダービーは6月上旬の施行が予定されており、
ユニコーンSと“もろかぶり”に。
施行日を前倒しし、
JRA勢の
トライアルとしての性格を強めるか? 距離を短縮しGII
兵庫チャンピオンシップ(園田・現行1870メートル→24年から7ハロン)と連動するか? いずれにせよ立ち位置が大きく変わることは間違いない。
さて、3回東京で行われる3歳上2勝クラスのダート戦は“残念
ユニコーンS”の役目を果たしてきた。18年は
ルッジェーロが清里特別(7ハロン)、21年は
レディバグが日野特別(8ハロン)で除外のうっぷんを晴らし、現在はオープンで活躍している。今年の
ユニコーンSはフルゲート割れの15頭立て。特別登録のあった
イグザルト、
レッドゲイルが揃って前日の三浦特別(7ハロン)に回ったことで除外馬ゼロとなった。
「当初の青写真は2回東京の平場戦(4月24日)を勝って放牧…だったのですが
レッドゲイル相手に脚を余す負け方。なので続戦となりました」とは
イグザルトを管理する
田中剛調教師。鞍上にレーンを迎えた次走を快勝すると「せっかくならば
ユニコーンSを使ってから放牧」とさらに続戦が決まった。
しかし
ユニコーンSでレーンは
インダストリア(13着)に騎乗が内定済み。「先方からは“三浦特別ならば空けておきます”ということで自己条件へ。少しでも体調に不安があれば回避するつもりでしたが馬体は減るどころかプラス6キロ。能力をしっかり発揮してくれました」と
レッドゲイルに5馬身差をつけてのリベンジ成就に同調教師もホッと胸をなでおろした。
適鞍がないこともあり夏競馬へは参戦せず22日に北海道へ放牧に。「復帰戦は秋の東京の自己条件(3勝クラス)。レーンも再来日するようですし、ぜひ
パワーアップした姿を見せたいですね。年明けはぜひフェブラリーSに向かいたい」と同調教師。
1分22秒4は今年行われた東京ダート7ハロン・良で2位の好タイムでGIII根岸Sを0秒7上回るとあれば復帰後の賞金加算はそう難しくない。“残念フェブラリーS”に回ることなく大一番に駒を進めることを当方も願っている。
(美浦の一撃野郎・山河浩)
東京スポーツ