競馬観戦が進化する。JRAは20日、21日の札幌競馬で「競走馬トラッキングシステム」の導入実験を行った。これは出走馬のゼッケンにGPSを含むセンサーを装着し、馬の位置情報をリアルタイムで表示するというもの。海外競馬の中継で見るケースはあったが、ついに日本競馬でも実装される。
札幌競馬場のターフビジョンでは、各馬の馬番が帽色に合わせて
カラフルに表示された。20日の札幌12Rは各馬の位置取りが横一列に映し出されるのみ。その時点では「分かりにくいし、何だか微妙だな…」というのが正直な感想だったが、翌21日の札幌7R、12Rは奥行きも表示されるバージョンに変わり、素晴らしい出来栄えになっていた。
新しい試みだけに賛否両論はあるかもしれないが、ネットでの反応を見ると、21日の方は好意的な意見の方が多いようだ。個人的には、昔ハマった競馬ゲームのダビスタを思い起こす画面に懐かしさを覚えた。
トラッキングシステムの最大のメリットは、馬群が視覚的に把握しやすくなることだろう。例えば新潟の直線競馬。このコースはスタンドから最も遠い場所からスタートするので、ただでさえアングルが引き気味になる。それに加えて馬群が大きくばらけるため、応援している馬がどこにいるのかが本当に分かりにくいのだ。この新システムが導入されれば、各馬のポジションや序盤の攻防をより一層楽しめるに違いない。
デメリット…と感じるどうかは人それぞれかもしれないが、画面に馬群が表示されることで臨場感が損なわれる、レースに集中できないといった意見はチラホラと目にした。
今後は9月3、4日にも実験を行った上で、23年春の本格導入を目指す。将来的には各馬のラップタイムや走行速度などのデータを取得できる可能性もあるという。もし、このデータを見られるのであれば、レースを見直す際の“復習”に大いに役立つのは確実。競馬観戦の楽しみが増えるその日を待ちたい。(デイリースポーツ・刀根善郎)
提供:デイリースポーツ