先日の
阿蘇Sでオープン2勝目を挙げた
デュードヴァンをはじめ、その産駒がすでに日本でも活躍している
デクラレーションオブウォーが、国内で供用されたのは2019年から。今年の2歳世代が初年度産駒にあたる。日本語訳は「宣戦布告」。なかなか勇ましい馬名のこの英GI2勝馬の産駒の出世頭となるのが、
新潟2歳Sで重賞初制覇を狙う
タマモブラックタイではなかろうか。
初陣となった7月9日の小倉芝1200メートル新馬戦では好発を決めてハナに立つ勢いから一旦は番手に収まり、4角で先頭に立つとそのまま後続の追撃をしのぎ切る抜群のスピードとセンスを披露した。そこから
フェニックス賞→小倉2歳Sと短距離路線を進むのが
セオリーだが、陣営が選択したのはマイルの
新潟2歳S。その決断の背景には何があったのだろうか?
「姉(
タマモペアリング)も短いところを走っているし、血統的な面を考慮して初戦は芝1200メートルを使いましたけどね。体形は胴長だし、気性もおっとりしている。正直、短距離への適性には不安を感じていました」とデビュー前の心境を振り返るのは高野助手。しかし、結果は前述通りの快勝。「まさかハナを切ろうかってほどのスピードを見せてくれるとは」と予測をいい意味で裏切る走りに驚きを隠さなかった一方で、見立てを狂わす競馬内容ではなかったとも感じている。
「見ようによっては長く脚を使った競馬。調教でも短距離馬のように坂路でグッと行く感じではないですから、距離は延びたほうがいいって感覚は変わっていません。むしろ初戦で短距離を経験したことが、マイルでポジションを取りに行く際に生きてくるのではってくらいに思っています」
1週前のウッド併せ馬では
タマモブラックタイが抜群の動きで早々に突き抜けてしまい、「併せ馬になりませんでしたね」と騎乗した角田河は苦笑い。「前肢に頼っている感じ。もっと体が起きてくれば
バランス良く走れるかな。まだまだ発展途上です」としながらも「そんな段階でもすごく操縦性の高い馬。折り合いの不安はないし、新潟のマイルは合っていると思います」と
ゴールデンルーキーが最後は前向きに締めくくったところに、
タマモブラックタイの今後の可能性を感じずにはいられない。より適性の高い舞台で真の能力開花となるか。その走りに注目してほしい。
(鈴木邦宏)
東京スポーツ