菊花賞トライアルの
神戸新聞杯(25日=中京芝2200メートル)は3年連続で中京での開催となる。一昨年は
コントレイル、昨年は
シャフリヤールと2年連続で
日本ダービー馬が参戦。
名古屋拠点で他地区への遠征がまれな自分にとっては競馬場でダービー馬と間近に接する数少ない機会だったのだが、ご存じのように今年のダービー馬
ドウデュースは
凱旋門賞を目指して海を渡ったことで、3年連続とはいかなくなった。
もっともレースへの興味が薄れたわけではないし、むしろ混戦模様のほうが馬券的には盛り上がる。それは同時に昨秋のデビュー時から目をつけていた
ボルドグフーシュの
菊花賞優先出走権ゲットの可能性が高まることも意味しているのだ。
昨年10月31日の2歳未勝利戦(阪神芝内2000メートル)。発馬でアオり後方からの競馬になった
ボルドグフーシュだったが、4コーナーで大外に持ち出すと、雄大かつ力感みなぎるフットワークで豪快に2馬身半突き抜けてみせた。
その鮮やかな末脚は目の肥えたベテラン記者たちをも虜にし、自分が師と仰ぐ某夕刊紙のM記者でさえ「クラシック級の逸材」と断言するほど…。
そう、この時点からずっと“いつか大仕事をする”と温め続けてきた馬なのだ。担当の河村助手は新馬戦6着からの当時の一変した走りをこう振り返る。
「いやあ〜派手な勝ち方でしたよね。もともと、のんびりした馬で“使ってからだな”と思っていたから、2戦目での勝ち上がりは予定通り。追い切りの時点で“もらったな”とは思ってました」
レコード決着となった暮れの
エリカ賞で7着敗戦、年明けの1勝クラスも3着止まりと雌伏の時期もあったが…。
「
エリカ賞の敗因はメンタル的なものも大きかった。特別レースでのパドックのお客さんの多さに
テンションが上がってしまって…。まあ、次走も含めて肉体的なコンディションも万全ではなかったんですけどね」
敗因はハッキリしていただけに河村助手に落胆はなかったし、そこから
ゆきやなぎ賞を快勝し、重賞初挑戦となった
京都新聞杯で発馬直後に不利を受けながら3着に押し上げるV字回復も当然といえば当然だったか。
「
京都新聞杯は勝負になると思っていただけにホント悔しかったですね。ただ、2歳の時から成長が早いタイプではなさそうだったので“ダービーは出れたらラッキー、
菊花賞を大目標にしよう”と宮本先生と話していたんですよ。そういう意味では、ここまではうまくいっているのかな」
1週前追い切りでは古馬オープンの
ガンケンを一蹴する走りでウッド7ハロン97.8-11.5秒をマーク。
「長めからでしたが、折り合いは問題なかったし、反応も抜群だったようです。ここで優先出走権を取れれば、距離はあればあるほど強みが出る馬なので、
菊花賞も面白いと思いますよ」と河村助手の期待も高まるばかりだ。
厩舎初のクラシックタイトル獲得に向けて、まずはこの
トライアルで3着までに入ることが
ボルドグフーシュにとって最低限の仕事となる。
(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)
東京スポーツ