秋のG1シリーズ開幕戦「第56回
スプリンターズS」が2日、中山競馬場で行われた。8番人気
ジャンダルムが3番手から直線抜け出し、
ウインマーベルの追い込みを首差しのいで優勝。鞍上の
荻野極(25)と共にG1初制覇を飾った。管理する
池江泰寿師(53)は19年
大阪杯(
アルアイン)以来となるG121勝目。1番人気
メイケイエールは14着に敗れて3連単は46万超の高配当となった。
偉大なス
プリント女王を母に持つ
ジャンダルムが7歳にしてG1初制覇。02年の
母ビリーヴから20年、レース史上初の母子制覇だ。
自身が2番枠から抜群のスタートを切る一方、最内枠でハナ想定の
テイエムスパーダはダッシュがつかず、先頭に立つまでにかなり脚を使った。外から
ファストフォースが競りかけて前半3F32秒7。前を行く2頭から3馬身ほど離れた3番手で、
荻野極ジャンダルムはピタリと折り合った。「課題のスタートを出てくれたし、道中も凄くスムーズに運べた」と
荻野極。4角で早々とテイエムに並びかけると、直線早めに抜け出した。「手応え通りしっかり伸びてくれた。7歳だけど気持ちも体も充実している。この馬の力を発揮することができました」と喜んだ。
幼少期から空手に打ち込んだ
荻野極は09年
有馬記念を見て騎手を志した。池江厩舎
ドリームジャーニーが勝ったレースだ。その池江厩舎と縁があって
ジャンダルムに騎乗、今年3月の
オーシャンSで重賞初制覇を飾ると2つ目の重賞が人馬ともG1初制覇。「うれしい。オーナー、調教師はじめ関係者、そしてファンの皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです」と相好を崩した。
秋春ス
プリントG1覇者の
母ビリーヴは03年引退後に渡米して繁殖入り。6頭の産駒を出し、15年に生まれた一番最後の子がキトゥンズジョイ産駒の
ジャンダルム。キャリアは個性的だ。2歳時に新馬、
デイリー杯2歳Sと連勝。2000メートルのG1
ホープフルS2着。翌年は
皐月賞9着、ダービー17着とクラシック路線を歩んだが、ダービーでの大敗後はマイル以下のレースにシフト。さらに21年
春雷S以降は1200メートル戦に限定。そこから9戦連続でス
プリント戦に挑み、通算29戦目にしてG1タイトルに手が届いた。
池江師は「感無量です。デビュー前からたくさんのファンに応援してもらったのに、大舞台で結果を出せず悔しい思いをしてきた。元々ス
プリント適性は高いと思っていたが、
ホープフルSで2着に入ってクラシックを目指した。かわいそうなことをしてしまった」と感慨深げに振り返り、「7歳なのであとはいかに種牡馬としての価値を高めるか」と付け加えた。母も成し遂げた秋春ス
プリントG1連勝を果たせば、種牡馬入りにこれ以上ない土産となる。
◇荻野 極(おぎの・きわむ)1997年(平9)9月23日生まれ、東京都出身の25歳。16年3月デビュー。同期は藤田菜七子、
坂井瑠星、
菊沢一樹ら。中学生時代に空手の世界大会4位。
JRA通算3133戦172勝(2日現在)。1メートル61、50キロ。血液型O。
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