東京1800メートルの鬼として記者が真っ先に思い出すのは、2016年の
毎日王冠で牝馬では実に23年ぶりの優勝を成し遂げた
ルージュバック。
アンビシャスとの叩き合いを制した上がり33秒4の鬼脚は記憶に新しく、もし東京1800メートルのGIがあったら…と今でも妄想せずにはいられない。
そんな
ルージュバックと同様に、東京1800メートルへの高い適性をひそかに感じている馬がいる。今年の
毎日王冠(9日=東京芝1800メートル)に出走する
レイパパレだ。昨年の
大阪杯勝ちを筆頭に中距離で輝かしい実績を残してきた馬だが、細身だった以前と比べて、筋肉量を増してきた近走の馬体は母
父クロフネの影響を感じさせるもの。ゆえに適性が中距離からややマイル寄りにシフトしてきた可能性がある。であれば、マイルと中距離の中間である1800メートルが今の
レイパパレに
ジャストフィットするのでは?
20年
大原S(1着)以来、実に2年ぶりとなる距離1800メートルについて高野調教師は「去年は距離に
トライする秋でしたが、一連の走りを見て2200メートルはやや長いという判断をしています。この馬の初速や道中の感じ、持っているスタミナ値のレンジ…そこだけを切り取ればワンターンの1800メートルはベストなんじゃないかなと」。調整次第でマイル、中距離のいずれにもアジャスト可能であることを示唆しつつ、初の舞台をプラスと捉えている。
もちろん、昨年の
大阪杯以来の復活Vへ向け、状態も上向きだ。
「動かすたびにより動けるようになってきたなと。
ヴィクトリアマイル(12着)の時は少し走りが軽過ぎるように感じましたが、今は本来の重厚感が戻っています。状態はこの春もすごく良かったけど、フレッシュ感は今のほうがありますね」
その前走はスタート直後につまずく不運も…。「それも敗因のひとつかなと思います。寸分の狂いなく走らせないと勝負できないのがGIですから」と振り返ったトレーナーが、秋の巻き返しに力が入っていることは言うまでもあるまい。
今年の
大阪杯でも素晴らしい走りで2着に食い込み、健在ぶりをアピールした
レイパパレ。魅力十分の舞台設定となる東京1800メートルを足掛かりに再度、GIの頂へと羽ばたいてもらいたい。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ