2008年10月26日、
菊花賞当日。京都芝1800mで行われた新馬戦は掲示板に載った5頭が、すべて重賞を勝ち、うち3頭がGIホースになった。これにより「伝説の新馬戦」と呼ばれるようになったが、2009年の
菊花賞当日に行われた新馬戦も1着
ローズキングダム、2着
ヴィクトワールピサがGIホースになったことで、
菊花賞当日に行われる芝1800mの新馬戦が「伝説の」と形容されるようになった。
その後も
エピファネイア(2012年)、
ワールドプレミア(
2018年)、そして2020年の
シャフリヤール(栗東・
藤原英昭厩舎)と、勝ち馬に関しては、3歳GIを勝つ馬が出ている。さあ、今年はどの馬が勝って、後世に名を残すような活躍を見せてくれるのだろうか。
【10月22日(土) 阪神芝1400m】
◆
コトヴィア(牝、父
ルーラーシップ、
母ウインアルエット、栗東・
松永幹夫厩舎)
母系にダート交流重賞の
スパーキングレディーカップを勝った
サウンドガガ(
父Roman Ruler)や2013年
共同通信杯を勝った
メイケイペガスター(
父フジキセキ)がいる血統。
本馬について「気持ちが高ぶりやすいところがあるので、そのあたりが落ち着いてくれば」と
松永幹夫調教師は話していたが、今のところは順調に追い切りを消化。10月13日はレースでも騎乗予定の松田大作騎手が跨って、3頭併せ。その真ん中に位置していたが、追い比べでしっかりと食い下がって、ラストは11.4秒の伸びを見せている。
【10月22日(土) 阪神芝1600m】
◆
ロードフォーステル(牡、父
ロードカナロア、
母オースオブゴールド、栗東・
松下武士厩舎)
母系に芝で3勝を挙げている
ベストアプローチ(
父New Approach)がいる血統。いとこに新馬、
クローバー賞と連勝した
オータムレッド(父
ワールドエース)がいる。
本馬は4月29日と早い時期にゲート試験を合格しており、その後は牧場で調整。9月に栗東へ戻ってきて、10月に入ってから本格的な追い切りを開始。10月13日のCWでは3頭併せを一番後ろから追いかけて、最後の直線は一番外。それでも楽々の手応えで前を捕まえて、最先着でのゴールだった。6F86.5秒と時計は遅いものの、脚力に関しては見るべきところがあるといった動き。今週の追い切りではもっと動ける状態になるのではないだろうか。
【10月23日(日) 阪神芝1800m】
◆
サトノグランツ(牡、父
サトノダイヤモンド、
母チェリーコレクト、栗東・
友道康夫厩舎)
2021年セレクトセール1歳にて、1億500万円で落札された
サトノダイヤモンド産駒。半兄に新馬、アイビーSと連勝した
ワーケア(
父ハーツクライ)がいる。
本馬は7月8日にゲート試験を合格した後、牧場へ戻って再調整。秋に栗東へ再入厩して、坂路とCWを併用して追い切りを積み重ねている。10月13日にはレースでも騎乗予定の
C.ルメール騎手が跨って、CWでの3頭併せ。全体時計は6F84.3秒と速くはなかったが、一番後ろから追いかけてゴール前ではきっちり追いついたところに見どころがあった。追い出されてからのフォームは父に似たところがあり、完成度が増せば、もっと力強い走りを見ることができそう。
◆
ハイアーレルム(牝、
父ハーツクライ、
母インナーレルム、栗東・安田隆行厩舎)
おじに英2000ギニー、愛2000ギニーなどのG1レースを勝った
Rock of Gibraltar(父
Danehill)がいる血統。半兄
ギルティブラック(
父ディープインパクト)は同厩舎で管理されたが、気性的に難しい面もあり、
JRAでは未勝利を勝つことができなかった。
本馬については「兄とは全然違って、馬体重は500キロくらい。気性もカッカしていた兄に比べて、割と落ち着いている。トモもしっかりしているし、距離の融通も利きそう」と安田隆行調教師。10月13日の坂路では、レースでも騎乗予定の
北村友一騎手が跨って、古馬1勝クラスと併せ馬。4F51.5秒と速い時計をマークしたが「時計は出ましたが、ウッドチップだともう少し力強さが欲しい走り。スピードが出る軽い芝が合いそうなタイプですね」とその動きを確認した同師は評している。
(取材・文:井内利彰)