近年は人気馬が勝つことが多い
アルゼンチン共和国杯(6日=東京芝2500メートル)だが、GIはざまのハンデ戦だけに、いつ相場が急変してもおかしくはない。狙いは上昇一途の
ブレークアップ。早くから長距離適性を見込まれてきた“スタミナおばけ”が戦慄の持久力を見せつける。
これまでは逃げ、または行きたい馬を行かせて離れた2番手の形が多かったが、前走の六社Sはいつもとは違う形。馬群の中で脚をため、ラストで鋭く伸びての1着。そのレース内容こそが
ブレークアップの進境を物語る。黒岩調教師は「レース前はタメ逃げをしようというイメージだったんですよね。ただ、主張する馬がいたのでその馬を行かせることになり、内で包まれるレースになりました。進路を探しながら動けましたし、あそこから差し切ったところに成長を感じますね。最後にもうひと脚使えたのは、夏を越しての成長だと思います」と充実ぶりに目を細める。
背景にあったのは、メリハリを利かせた最適ローテだ。それまでは間隔を詰めて使ってきたが、今年の夏は暑さを考慮してスパっと休養に充てた。それが功を奏し、
パワーアップにつながった。
早期から中長距離への適性を見込まれてきた。一昨年10月のデビュー戦(9着)から、ただの一度も2000メートル未満の距離を使うことはなく、徹底して長めのレースを選択。黒岩師は「スピードよりもスタミナというタイプ。折り合いも問題ないですし、
バランス良く走る馬なので」とそのワケを説明した。
タメ逃げだけでなく、好位差しもできるようになった黒岩厩舎の“スタミナおばけ”。今回は対戦相手にGI馬
キラーアビリティや
天皇賞・春3着の
テーオーロイヤルなどハンデを背負いそうな馬が複数いる。対するこちらは昇級戦。間違いなくハンデも手頃だろう。一発の魅力は十分だ。
2歳時から持ち味のスタミナをひたすら強化し続けてきた
ノヴェリスト産駒が、久々に迎えた重賞の舞台で、驚異の持久力を武器に先行粘り込みを決める。
(特捜班)
東京スポーツ