デビューから7戦、一貫してマイル戦への出走を続け、重賞3勝を含む計4勝の勝ち星を積み上げてきた
セリフォス。敗れた3戦にしても全てGI、全て僅差の接戦となれば現役屈指のマイラーとの評価に誰も異論はあるまい。一方でGIを勝てていないのは紛れもない事実であり、大舞台ではあと一歩足りないイメージが定着しつつあるのも仕方のないところであろうか。果たして
セリフォスの現在地をどう捉えるべきなのか。
春のGI2戦、
NHKマイルC→
安田記念連続4着は2歳時からの成長がうかがえた点では、大いに収穫のある敗戦であったことをまず強調しておきたい。
振り返れば、
新潟2歳S時は装鞍所からのイレ込みが目立ち、そしてレースでは左へ行こうとするしぐさを見せたことから馬場の悪い内めの進路を選択せざるを得ない形に。ハミを工夫して臨んだ続く
デイリー杯2歳Sにしても4角を逆手前で入って外へと膨れるシーンが…。そう、2歳時の重賞連勝は結果は出ていたとはいえ、道中の折り合い、制御の難しさなど、至るところに課題をのぞかせていた。
対する春2戦は2歳時に比べれば落ち着いてレースへと臨めていたし、操縦性もまた格段に高まっていたのは明らかだろう。それでもGIタイトルに手が届かなかったのであれば、さらなる「磨き上げ」が必要。夏の休養期間にその課題を成し得たのかを確認するレースが秋初戦の富士Sであり、その結果は100点満点と言ってもいいものではなかったか。
「直線までよく我慢ができていたし、ゴール前で進路が確保できてからの伸びは素晴らしいものでした。強いメンバーを相手に、いい勝ち方ができたと思います」
福永助手がそう評価したように、道中の落ち着いた走りは春からのさらなる進化をうかがわせ、ラ
イバルの
ダノンスコーピオンを前方に見る形で追い出しをギリギリまで我慢すると、進路が開いてからは今までにないはじけ方で鋭く差し切ってみせた。
それは背中から確かな成長を感じ取った鞍上が自信満々のレース運びをしていたかのようにも映ったのだが…。手綱を取った藤岡佑はレース後、その成長を伝えつつも、「欲を言えば、もう少し反応できるようになってほしい」と。
セリフォスにとって前哨戦は単なる通過点。さらなる高み、すなわちGI制覇への大目標に向けての注文だったのは言うまでもない。
「前走後は在厩の調整となりましたが、ダメージが残った様子はない。食いが良く、元気もいいですね。GIとなればさらにメンバーも揃うだけに厳しい戦いとなるでしょうが、さらに状態を上げてレースへ臨めるように調整していきたいですね。久しぶりの阪神も相性のいい舞台だとみていますから」と福永助手は期待を隠さない口ぶりで中間の上昇気配を伝える。
先週の
エリザベス女王杯で
ウインマリリンを2着に導くなど、存在感を存分に見せつけたレーンを新たに鞍上に配して臨む4度目のGI。レース後、
セリフォスが大舞台に弱いというイメージは見事に払拭されているに違いない。
(栗東のバーン野郎・石川吉行)
東京スポーツ