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信念貫きニッポーテイオーを圧逃V導いた郷原さん

スポニチ
  • 2022年11月18日(金) 05時00分
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 【競馬人生劇場・平松さとし】

 20年1月、76歳で亡くなったのが郷原洋行さんだ。

 騎手、調教師として活躍したが、特に騎手時代は“剛腕”の名で知られ、一時代を築いた。オールドファンなら誰もが知る名ジョッキーだった。

 私は結構、目にかけていただき、いろいろなエピソードを教えてもらった。1980年代後半に活躍したニッポーテイオーについても、うかがったことがあった。

 「落ち着きのない馬だったので、NHK杯(NHKマイルCの前身で2000メートル)を8着に負けた後“短い路線へいこう!”と、ダービーは諦めました」

 これが86年の話。当時はまだクラシックに重きを置く陣営が多い中での大英断。吉と出た。

 今でいう3歳(当時は4歳表記)で臨んだマイルチャンピオンシップ(G1)を2着とすると、翌87年には安田記念(G1)、宝塚記念(G1)も連続2着。惜敗続きの中、着実に手応えをつかんだ郷原さんは「自信を持って秋の天皇賞へ臨んだ」という。しかし…。

 「管理する久保田金造調教師が、結構、注文をつけてくる人で、あまりにうるさいから“それなら乗らない”と言いました」

 すると調教師が折れて「任せる」と言ってくれたそうだ。

 しかし、話には続きがあった。

 「結局、レース直前になって“2番手でいこう”とまた言ってきました。自分としては勝つためには逃げた方が良いと考えていたので“逃げさせてくれないなら他の人を乗せてください”と言ったら、再び黙ってくれました」

 結果、ニッポーテイオーは逃げ切り勝ち。以降、天皇賞・秋を逃げ切った馬はただの一頭も出ていない。

 「続くマイルチャンピオンシップも早めに先頭に立ちました。後ろから西日を浴びた他馬の影が見えたら追い出そうと考えていたら、最後まで(影は)見えませんでした」

 5馬身差の圧勝だった。それから35年。鬼籍に入った郷原さんは今年のマイルチャンピオンシップを、どんな思いで見るだろうか。(フリーライター)

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