◆第39回マイル
チャンピオンシップ・G1(11月20日、阪神競馬場・芝1600メートル、良)
最強マイラーを決定する第39回
マイルCS・G1は20日、阪神競馬場で行われ、3歳馬の
セリフォス(レーン)が後方一気の末脚で初のG1タイトルを奪取した。
レーンが、
セリフォスとともにスタンドを沸かせた。直線に向いてもまだ後方。残り350メートルでようやく追い出し、ステッキが入ったのは残り150メートル。上がり最速33秒0の末脚でまとめて差し切った。「前と離れていて簡単じゃないと思いましたが、すぐに瞬発力を見せてアッと言う間でした」。19年の
有馬記念以来、自身4度目の
JRA・G1勝利となった豪州の名手は、3歳馬の底力に驚きの声を上げた。
中内田厩舎にとっても価値ある4つ目のG1タイトルだ。これまで
朝日杯FS2勝、阪神JF1勝と2歳戦ばかりだったが、ひと味違う初の古馬G1制覇にトレーナーは「素直にうれしい。夏を越し、ひとつ成長していました」と声を弾ませた。
成長していたのは、馬だけではない。担当馬で平地G1初制覇を飾った三上厩務員は「えらいこっちゃ」と泣きながらターフから引き揚げ、
セリフォスの調教パートナーの片山助手が駆け寄ると「あんたの顔見たらだめだ…」と涙をぬぐった。開業9年目、スタッフを含めた“厩舎力”の強化を証明するVともなった。
招待された
香港マイル(12月11日、シャティン)は辞退しており、さらなる飛躍の舞台は来年となる。「マイルがベストと思っていますが、今後のことはオーナーと相談して」と指揮官。昨年の
マイルCS連覇で引退した
グランアレグリアの後継となる若きマイラー。楽しみな新星が秋の仁川に誕生した。(玉木 宏征)
◇母は出産後に死ぬ「血統をつなげられて良かったです」
馬主の(株)G1レーシング・吉田正志代表は、
セリフォスの豪脚に「感動しました。先生(中内田調教師)の指示で
ゴーサインを遅らせたのは分かっていたのですが、直線はドキドキしました」と興奮。
母シーフロントは
セリフォスを出産した後に死んだこともあり、同代表は「血統をつなげられて良かったです」と喜びをかみ締めていた。
セリフォス 父ダイワメジャー、
母シーフロント(父ルアーヴル)。栗東・
中内田充正厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・追分
ファームの生産。通算8戦5勝。総獲得賞金は3億9570万6000円。主な勝ち鞍は
新潟2歳S・G3、
デイリー杯2歳S・G2(以上21年)、22年富士S・G2。馬主は(株)G1レーシング。
スポーツ報知