29頭にも及ぶ第74回
阪神ジュベナイルフィリーズ(11日=阪神芝外1600メートル)の登録馬の中でもキレッキレのギャルたちがひと際、輝いている。上がり33秒台は当たり前。条件さえ整えば31秒台も叩き出せるのだから末恐ろしい。
アルテミスSで1、2着を分け合った
ラヴェル&
リバティアイランドのギャル2頭は2歳女王決定戦でもイケイケ。とんでもないキレキレの脚を披露します。
桜花賞と同じ阪神芝外回り1600メートルが舞台となる阪神JFは、まさに2歳女王を決するにふさわしい一戦。では阪神JFの最重要
ステップレースとなるのは? 一昨年の
ソダシ、昨年の
サークルオブライフと続けて2歳女王を送り出している東京芝1600メートルが舞台の
アルテミスSとして問題なかろう。
今年もレベルの高いメンバーが集った中、無傷の連勝で重賞タイトルを獲得したのは
ラヴェル。新馬戦に続いてスタートで出遅れ、外を回して差し切ったレースぶりは、大味で粗削りなものと映ったかもしれないが…。
「初戦を使った後から前進気勢が強くなっていたことを心配していたんです。むしろ、あのスローな流れの中でもしっかりと折り合えたことは大きかったですね」と安藤助手は収穫大の口ぶり。駆使した上がりは最速の33秒0とその切れ味には確実に磨きがかかっていた。GI制覇へ向けて視界良好といったところか。
一方でクビ差2着に敗れた
リバティアイランドも素質の高さでは負けていない。新馬戦で上がり31秒4という究極の数字を叩き出したことから一気に世間の注目を集め、
アルテミスSで単勝1.4倍という断然の支持を集めたのはこちらのほうだった。
「進路のないところに入ってしまって厳しい形になりましたが、最後に外へ出せてからの伸びは目立つものでした。その後はノーザン(
ファーム)しがらきへ短期で放牧に出て、先月の16日に帰厩。GIへ向けて調子を上げていければ」と福永助手は敗戦にも気持ちを切り替え、女王決戦に備えている。
芝で行われた1週前追い切りでは主戦の川田が手綱を取り、併せ馬で5ハロン64.8-11.8秒の時計を楽々とマーク。軽快なフットワークでいかにも切れ者の印象を改めて漂わせていた。
「これまでの2戦の内容で能力の高さは十分に示してくれている。初めての右回りも調教の感じからはとくに問題ないとみています。
テンション的に普段は落ち着いているところもいいですね」と福永助手は順調な調整ぶりを強調。その一方で「まだ食いが安定しないあたりで体質面としてしっかりとしていないところ、足りないところは徐々にでも成長していってくれれば…」と未完成の面が残っていることを隠すことはなかった。
実はこのあたりは
ラヴェルの安藤助手も同じ。「ゲートの扉が怖いみたいなんです。それでスタートをうまく出ることができないんですよね。それに、もう少し食いが良くなれば、もっと調整もしやすくなるんでしょうが…」と無敗の重賞ウイナーであっても、まだ完成されていないのを認めつつ、「出遅れをカバーできる末脚がありますし、1週前追い切りではしっかりと負荷をかけることができました(ウッド7ハロン96.2-12.3秒)」とその成長過程には満足感を漂わせている。
未完成ながら、半端ない素質を秘める
ラヴェルと
リバティアイランド。再戦がどんな結果になるにせよ、2頭の才女がこの先も長く好敵手として切磋琢磨していくことだけは間違いあるまい。
(石川吉行)
東京スポーツ