“競馬はドラマ”とよく言われますが、これほどドラマがある馬はなかなかいないのでは…。
阪神ジュベナイルフィリーズ(11日=阪神芝外1600メートル)に出走する
モリアーナは、父・善則調教師が管理し、娘が名付け親で、息子が騎乗。武藤家と関わりが深い馬なんです。
モリアーナの高橋文男オーナーと武藤師は、師が見習い騎手だった時からの古い付き合い。そんな縁もあり、高橋オーナー所有の馬名はいつも武藤師がつけていたそう。
モリアーナもその例に漏れず名付けることになったのですが、なかなかいい名前が浮かばなかったそうです。
一度は自分で名付けたものの「ひねりすぎて、なんかな…」と思い悩んでいました。そこで、助けを求めたのが娘の彩未さん。「すぐ“
モリアーナ(スラブの伝承に登場する風の女神)はどう? ”と返ってきて、それいいね! ってなったんだよね」と経緯を説明してくれました。
オーナーと一家の縁に加え、馬自身にもこんな秘話が。育成段階であごに骨肉腫があり、一時は競走馬になることも危ぶまれていたんです。しかし、徐々に改善されて無事に競走馬に。武藤師は「まだよく見るとあごが硬くなっているところがあるんだけど、今はいつも元気。生命力があるよね」と語っています。
病を乗り越えデビュー連勝→GIへと挑む
モリアーナ。1週前追い切りの動きも抜群でした。雅騎手を背に美浦坂路で4ハロン53.9-12.1秒。重い馬場をものともせず、僚馬に楽々先着。師も「折り合いが良かったね。重い馬場がどうかと思ったけど、力を要する馬場でも大丈夫。1週前としてはいい調教ができた」と満面の笑みを浮かべていました。
先週の
チャンピオンズCは、
ジュンライトボルトに騎乗した石川騎手がGI初制覇を達成。加えて
スプリンターズS=
荻野極騎手、
秋華賞=
坂井瑠星騎手と、今秋は20代騎手の
JRA・GI初勝利が続いています。デビュー6年目の雅騎手(24)にとっても初GI&初の
JRA重賞Vがかかる大一番。「父の管理馬で
ビッグチャンスだと思っています。しっかり結果で応えたいです」と力が入ります。最後に「この馬はドラマが結構あるんだよね〜」と言って取材を締めた武藤師。
親子でGI初制覇――。先生、勝ったらものすごいドラマです!
(美浦のドラマ応援女子・三嶋まりえ)
東京スポーツ