◆第67回
有馬記念・G1(12月25日、中山競馬場・芝2500メートル、良)
第67回
有馬記念・G1(25日、中山)は、
イクイノックスが2着
ボルドグフーシュに2馬身半差をつける完勝。
木村哲也調教師(50)=美浦=が「天才」と称する3歳馬が、史上最少の6戦目で
グランプリ制覇で証明。G1連勝を成し遂げた「天才」の新たな伝説をつくる場所はどこになるのか。
3歳馬、わずか5戦のキャリアで挑んだ
グランプリでも1番人気の支持に応える2馬身半差の完勝。その重圧を一心に感じていた木村調教師は「ホッとしました」と安どの表情を浮かべた。課題のあった発馬も決め、絶好のポジショニングを取った
イクイノックス。道中でやや行きたがる場面を見せたが、「引っかかっているわけではないんですが、パワフルで、それこそ頼もしくみていました」と木村師の心は微動だにしなかった。
ただ、レース10日前の思いは違った。「このままじゃ
有馬記念は勝てない」。抱いていた危機感。それでも、指揮官が「天才」と評する愛馬はレースまでの時間がわかっているかのように、自身を整えていく。最終追い前日の20日には「レールにはまって来る」という独特の表現で変化を感じ取った木村師。終わってみれば快勝。「簡単ではないんだけど、簡単に勝ってしまう」
イクイノックスは、やはり「天才」だった。
クラシック前から海外
メディアも注目の一頭だった。2月に
オーソリティとネオムターフCを戦うためサウジアラビアへと遠征。その際、現地で
イクイノックスと
ジオグリフの強さについての質問を受けた。その時、「世界で戦っていきたい」と強く感じた。衝撃の
グランプリ制覇に、個人的な意見と前置きした上で「世界のホースマンに見ていただく価値のある馬ではあると思います」と力を込めた。
同馬を所有するシルクレーシングの米本代表の思いも重なる。「間違いなく今の日本を代表する一頭になったと思う。世界中のレースに適性があると思うので、来年は国内外でレースを選択していきたい」。しっかりしたレース間隔を取って、「天才」の感覚で一撃必殺のように狙ったレースをつかみとる。実力で古馬を黙らせた
キタサンブラック産駒には明るい未来しか見えない。(石行 佑介)
イクイノックス 父
キタサンブラック、
母シャトーブランシュ(
父キングヘイロー)。美浦・
木村哲也厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算6戦4勝。総獲得賞金は8億660万2000円。主な勝ち鞍は22年
天皇賞・秋・G1、21年東京スポーツ杯2歳S・G2。馬主は(有)シルクレーシング。
スポーツ報知