いざ、決戦へ――。
ケンシンコウが自身初のGIフェブラリーS(19日=東京ダート1600メートル)に挑む。連覇中の
カフェファラオがサウジC参戦で不在。代わって1番人気濃厚とみられていた
ギルデッドミラーも骨折判明で電撃引退。メンバーが手薄になったことで、初挑戦にして千載一遇のチャンスが巡ってきた。「ここが勝負の川中島だ! 」と
テンションが上がっているのは記者だけではあるまい。
キャリア最短距離に挑んだ前走の根岸Sでは、大外枠からゆったり最後方を追走。直線で外に持ち出すと、上がり2位タイとなる35秒3の末脚で見せ場たっぷりの6着に食い込んだ。距離ロスはもちろん、最後の脚色も考慮すると、距離が1ハロン延長する本番で一番可能性を感じさせる競馬内容だったのは、この
ケンシンコウではなかったか。
「折り合いが課題になる馬なので、テンに置かれても(距離が)短いほうが走りやすいのでしょう。前走内容からすると、1600メートルの今回は楽しみですね」
ケンシンコウだけでなく、
ペイシャエスも担当。2頭の重賞馬を手がける“腕利き”吉開助手の弁だけに期待も高まる。
改めてその蹄跡を振り返ると、3歳夏の
レパードSで初重賞制覇を飾りながらも、気ままな性格が災いしてか、トントン拍子に出世とはいかなかった。しかし、このところある変化が見られるのだという。
「ヤンチャな性格だったのですが、最近は大人になってきました。前走はその落ち着きがいい方向に出たのだと思います。休み明けを2回使った疲れがないどころか、筋肉がパンプアップして、今は心身ともにいい状態ですね」
これまでの好走パターンはほぼ先行粘り込み一辺倒だったのだが、前哨戦では末脚を生かす形で新たな魅力を発揮した。
ケンシンコウといえば、顔の左側が大きな白斑で覆われ、顔が二色になっていることでファンの注目を集めてきたが…。そう、競馬でもまた“二面性”を見せ始めたのだ。
「(左側は)まつ毛までが真っ白でしょ。芦毛の馬でも、これだけ白いまつ毛は見たことがないです。“激レア”キャラですよね。それもこの馬の
チャームポイントなので、観戦の際には観察してみてください。そして少しでも
ケンシンコウを好きになってもらえれば」
もちろん、吉開助手も独特の風貌による馬キャラ人気に終わらせるつもりはない。毘沙門天と化しての激走で、小西厩舎に初のGIタイトルをもたらすことを願っている。
(美浦の献身野郎・垰野忠彦)
東京スポーツ