競馬界にとって3月は、新人騎手がデビューする節目の季節だ。今年のルーキーは東西で6人。美浦では、藤田菜七子以来現役2人目の女性ジョッキーとなる
小林美駒騎手(17)=美浦・鈴木伸=が、プロとしての第一歩を踏み出す。
動物好きの家庭で育ち、地元・新潟で行われたアイビスサマーダッシュを間近で見て騎手を志した。「兄2人も“馬”にちなんだ名前なんです。家族みんなでよく競馬場に行っていたし、ウイナーズサークルで
サインをもらったり…。津村騎手から花束をもらったのは今でも心に残っています」と目を輝かせる。
入学から3年間を経て、競馬学校を卒業した。「同期に女の子もいて、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)して励まし合いながら来たので、ツラいと思うところはなかったです」と、あどけない笑顔を見せた。
初めて美浦トレセンに来た時は戸惑いや不安もあったものの、兄弟子がしっかりカバーしてくれた。「(横山)武史さんには間近で馬乗りや、馬乗りに必要な筋肉をつけるトレーニングを教えていただきました。どんなに忙しい時でも、競馬が終わるとレース映像を見ながら丁寧に教えてくれます。競馬学校にいる時も、ほぼ全部の模擬レースを見に来てくれました」と感謝する。
同じ女性騎手として先にデビューした先輩の存在も大きい。「(藤田)菜七子さんは一緒に模擬レースに乗ったこともあります。トレセンでも、いろいろな馬について教えてくれます。これからも分からないことがあったら教えてもらいたいです」。昨年、51勝を挙げて女性騎手のJRA年間最多勝利記録を更新した
今村聖奈は、競馬学校時代の1年先輩にあたる。「学校では同じ厩舎でしたし、めちゃくちゃ丁寧に教えてくれました。聖奈先輩の技術を盗めるところは盗めたら」と、貪欲な姿勢を見せた。
間近に迫ったデビュー週は、現時点で7鞍前後を予定している。「楽しみ半分、不安半分です。厩務員さんにはプレッシャーをかけられていますが(苦笑)。その期待に応えられるよう、家族にも恩返しをできるように頑張りたいです!」と意気込みは十分だ。
「まずは馬の邪魔をせずゲートを出すことを心掛けたい。4キロ減は前めのポジションを取る上でも有利だと思っているので、それはセールスポイントとして意識したいです」。本人が“顔に出る”というほどの負けず嫌いな性格を武器に、競馬という勝負の世界の大海原へと飛び出す。
提供:デイリースポーツ