父さん、忘れ物を取りに行くよ――。25日(日本時間26日未明)、UAEのメイダン競馬場で行われた1着賞金696万ドル(約9億1000万円)のダートG1
ドバイワールドカップを制した日本馬
ウシュバテソーロが、フランスG1
凱旋門賞(10月1日、パリロンシャン)挑戦プランをぶち上げた。トレンドは“二刀流”。芝、ダートの両方で大レースを走るのが最新の超一流馬だ。
日本馬の
ドバイワールドカップ制覇は
ヴィクトワールピサ以来12年ぶり。当時はオールウエザー馬場で、ダートの同レース制覇は日本馬で初めての快挙。その優勝会見で馬主である了徳寺健二ホールディングスの広瀬祥吾副社長から、夢プランが掲げられた。
「
凱旋門賞に挑戦したいと思います。
凱旋門賞制覇がオーナーの夢で、
ウシュバテソーロでその夢をかなえにいきたい」
凱旋門賞は芝G1で世界最高峰。ダートの
ドバイワールドカップを勝った馬を、
凱旋門賞に使った例はこれまでない。そもそも
ウシュバテソーロはダートに転向して素質が開花。1年足らずで世界のトップホースとなったが、昨年4月までは芝の3勝クラスを勝ちあぐねていた馬。
それでいて、この挑戦に否定的な声は少ない。既に芝、ダートを隔てる壁はそれほど高くないからだ。芝のG1馬
パンサラッサが、世界最高賞金のダートレース、
サウジカップを勝ったのはひと月前のこと。
パンサラッサを管理する矢作師は以前、馬場適性について「調教の動きや、脚のさばき、走りの軽快さ、力強さ。そして血統。いろいろな可能性がある」と語っていた。
ウシュバテソーロの血統は父
オルフェーヴル。父は日本馬で最も
凱旋門賞制覇に近づいた馬。今回騎乗した
川田将雅は
オルフェーヴル産駒の特徴を「我の強さ」と表現した。「レース中にどれだけ頑張る気持ちに持っていけるか。そこにフォーカスして乗りました」。見事に走る気を引き出された
ウシュバテソーロは、世界の壁を軽々と飛び越えた。
ディープインパクト、
タイトルホルダーなど日本の一流芝馬がこれまで勝てなかった
凱旋門賞を勝つには、こういう鬼手が必要ではないか――というのが関係者の見方だ。
なお「
ウシュバ」とは
ジョージアの山の名で、4000メートル超の北峰と南峰が並ぶ連山。頂が2つある。ダートと芝、両方で頂を極めれば痛快だ。
ウシュバテソーロ 父
オルフェーヴル 母ミルフィアタッチ(母の
父キングカメハメハ)17年3月4日生まれ 牡6歳 美浦・高木厩舎所属 馬主・了徳寺健二ホールディングス 生産者・北海道新ひだか町の千代田牧場 戦績29戦9勝(うち海外1戦1勝=
ドバイWC、地方2戦2勝=
東京大賞典、
川崎記念) 馬名の由来は、
ジョージアにある山の名+冠名。
○…
ウシュバテソーロの
凱旋門賞参戦が発表され、大手ブックメーカーですぐに反応したのが英ベットフェア社だ。前日まで名前はなかったが、デビュー2連勝中の3歳牝馬
タヒーラと並んで6番人気タイの17倍に設定した。また、前日まで2番人気タイの13倍としていた
イクイノックスのオッズを修正。7倍で1番人気に浮上した。
スポニチ